あ~イク恋愛生欲情の扉

あ~イク恋愛生欲情の扉

札幌市中央区南5条西5丁目 第2東亜すすきのビル8F | 営業時間:8:30〜23:59

お電話で「スポット見た!」とお伝えください!!

011-563-6919

あ~イク恋愛生欲情の扉 の写メ日記PHOTO DIARY あ~イク恋愛生欲情の扉のプライベートを覗き見! 随時更新中!

2020年 10月 の写メ日記一覧
  • 感謝?
    感謝?
    今日は急遽長い時間での出勤でしたが、ご予約様DAYで感謝感謝です!ありがとうございました!!
    またご奉仕させてください…???

    明日も10時から☆
    ご予約お待ちしております(???-???)/

    明日も濃厚な時間を過ごせたらいいな(//∇//)
    おやすみなさい☆彡
  • いたずら??
    いたずら??
    こんばんは??
    はっぴーハロウィン♪?


    今日は46年ぶりのハロウィンの日に満月だそうです???



    まひるちゃんは毎年ハロウィンぽいことはせずのんびりとすごしてます(〃´ω`〃)


    お写真は去年お店のグラビアでとったやつ??


    まひるちゃん昨日から実家にいて、今日の夜ご飯をマミーと一緒に腕をふるって何種類か作ったよ♪


    土曜日の実家帰る日は、家族がそろうから嬉しい??




    まひる
  • この後も
    この後も
    今日も一緒にお部屋で過ごしてくれてありがとうございます!
    いやらしい時間、幸せです…!
    この後も残りわずかですがお部屋です( ????* )b
    バタバタな世の中ですがお部屋で会えたら嬉しいです!!

    ナース服ますみで引き続きご予約ご来店お待ちしております♪
  • ゆがむ おじかん です
    ゆがむ おじかん です

    目が覚めると、そこは部屋だった。
    当たり前のことである。
    エリコはまぶたをこすり、枕元をまさぐる。
    四角くて、やや冷たい手ごたえの携帯電話を見つけた。
    もう朝か。
    学校行くのめんどくさいなと思いながら、 エリコは寝転び、目を閉じたまま、手探りでセーラー服を探した。
    いつも寝る前に、翌日着るものを布団の横に置いているのだ。
    右手でセーラー服を探し、同時に左手でパジャマを脱ぐ。
    暖かい布団の中で着替えをするのが毎朝の習慣だった。
    おかしいな。パジャマのボタンがない。
    手を動かしているうちに、やっと気付いた。
    え?わたし全裸?なんで?
    寝ぼけて脱いでしまったのだろうか。
    だとしたら、すさまじい寝ぼけかたである。
    あとで彼氏に、この話をしよう。
    だけど、どんなに手を動かしてもセーラー服は、なかった。
    え???
    少しづつ、頭が覚醒してゆく。
    エリコの視界に入るのは白い世界。
    白い壁、白い天井、白い床。
    そして肌色の自分の体と携帯電話。
    なにかがおかしい。
    見慣れない景色だ。
    ここは、どこだ。
    毎朝、顔を合わせる電灯がない。
    小学生の頃から貼ってある世界地図がない。
    机も、棚も、何もかもがない。
    私と、携帯電話だけが、ここに、ある。
    これは夢だろうか。
    二度寝したら目覚めるだろうか。
    おけつの下が硬くて、冷たい。
    やわらかい肉の奥にある骨と、フローリングの床があたる。
    痛い。
    布団がないのだ。ドアもない。何が起こったら、こんな状況になるんだろうか。
    しばらく時間がたっても、元の世界に戻らない。
    どうやら、これは夢ではなくて、現実みたいだ。
    仕方ない。
    私は意を決し、むっくりと起き上がった。
    あたりを見渡してみる。
    ドアもなくて窓もなくて、外の音も聞こえなくて、白く清潔な壁だけがそこにある。
    部屋は正方形。
    いや、三次元だから立方体というべきか。
    私は自分の身長と部屋を比較しながら、広さの見当をつける。
    たて、よこ、たかさ、すべて三メートルずつといったところだろうか。
    普通の部屋に比べて天井は高く、広々とした印象である。
     
    電灯はないのに、不思議なことに部屋の中は明るい。
    壁にコンセントやスイッチ類は、ない。
    画鋲を刺したあとさえ、ない。
    何もない部屋がこんなに不気味だとは知らなかった。
    家具がない部屋だって普通はドアがあるだろう。
    それらの目標物がないのが、例えようなく不気味である。
    監、禁されている可能性を考えてみた。
    自分の体を触ってみる。
    彼氏はいるけど、まだ処女である。
    もしかして私は、レイ、プとか、されたのだろうか。
    だけど下半身に違和感は感じない。
    いつも通りの私の裸である。
    白い部屋の中にある、体の肌色。
    禍々しい陰毛の黒。
    無機質な部屋の中で、私はあまりにも場違いだ。
    携帯電話を見る。
    八時を過ぎようとしている。
    学校、遅刻しちゃうなあ。
    待ち受け画面を見ると電波が三本立っている。
    なんだ、電波あるじゃん。
    誰かに連絡を取ることは出来るわけだ。
    電話をかけようとして、はたと迷う。
    私は誰に電話すべきだろうか。
    彼氏?両親?警、察?
    しばし考え込む。
    正直なところ、誰に電話してもいいんだと思う。
    だけど何と言おう。
    今のこの状況を、どう説明したらいいのだろうか。
    自分でもよくわからないことを他人に説明するのは難しい。
    まあいいや、とりあえず、かけてみよう。
    何とかなるだろう。
    「あ、ママ?」
    「えりこ、あんた今どこにいるの。
    朝御飯も食べずに、学校行ったの?
    お弁当忘れているわよ。
    届ける?」
    「いや、いま起きたら、変なところにいるんだけど」
    「変なとこ?」
    「白い密室に、裸で閉じ込められている」
    「え?!」
    電話越しに、母がおびえているのが、わかる。
    そして、
    「なに?どうゆうこと?どこなの?」と聞いてくる。
    「いや、だから私も、わかんないんだってば」
    「裸で閉じ込められているって、何かされたの?イタズラされたの?」
    「何もされていない、誰もいない、ドアもない、でも全裸」
    「なにそれ」
    「わかんない。
    ねえ、ママ、わたしの部屋どうなってる?」
    「パジャマが、すっぽり、布団の中にある。
    連れ去られたの?
    おとうさん!たいへん!たいへん!」
    そのあと、父と母は捜索願いを出した。
    「絶対、あんたのこと見つけるからね」
    母と父の、その言葉に安堵したその瞬間、充電が切れた。
    私は絶望した。
    体育座りをしてジッとしていると、
    何か違和感を感じた。
    それは、ある印象であった。
    自分の体が大きくなったような印象。
    白い壁ばかりの部屋で錯覚を生じたのか。
    こめかみのあたりに、嫌な予感が走るのを感じる。
    ふと思いつき壁際に寄る。
    私は部屋のすみの壁、立方体の点にあたる部分から一センチほど離れた位置を、爪で引っ掻いた。
    小さな傷が壁に残ったのを確認する。
    それを三回繰り返し、三角形の傷を描いた。
    印である。
    一息ついて、壁を見る。
    先程の印は、どうなっているんだろう。
    ぞくりと、首裏が震える。
    もはや違和感でも、目の錯覚でもない。
    明らかに部屋が狭くなっている。
    先程の違和感。
    移動した印の位置。
    壁が縮んでいる。
    だんだん悪寒がしてきた。
    背筋を冷たい汗が流れる。
    出口のない白い部屋が、少しづつ小さくなる。
    静かでゆっくりだけど確実に壁が縮み、そのぶんだけ部屋が狭くなる。
    じわじわと落ちる天井、迫る壁。
    逃げ場はない。
    やがて歩き回るスペースがなくなるばかりか、満足に伸びも出来なくなる。
    そして自らの肉体が直接、壁に圧迫されるままになる。
    どんな姿勢をとっても体が壁にあたる状況。
    壁から逃れようと四肢を縮めて、その場をしのぐ。
    いつしか一切の身動きが出来なくなり、なすがままに内臓を押されてゆく。
    さらに空間は圧縮し、その圧力により、少しづつ骨が折られてゆく。
    究極の閉塞感の中、肉が潰されて、人間という形がなくなる。
    ぐちゃぐちゃの塊になり、なおも押し固められる。
    濃縮された体液と肉は、赤い立方体になり、最後には赤い点になる。
    ……まさかね。
    おぞましい想像を私は、振り払った。
    まったくもって、ばかげている。
    ありえない。
    ありえないったら、ありえない。
    そう自分に言い聞かせる。
    口のあたりが無意識にピクピクと動く。
    あー、やっぱり、おびえている。
    不安は消えず、増大する。
    怖い。すごく怖い。
    顔面を満たしている血液が、首を通して一気に下へ落ちていくような感覚を覚える。
    全ての毛細血管中の血が抜けていくものだから、眼球の周りの皮膚が真っ青になり、浮かび上がりそうなほどに頭が軽くなっていく。
    やけにうすら寒く感じて、顎骨の産毛、その一本一本が逆立つ。
    ただの壁なのに、今は邪悪な欲望を秘めた怪物のように、ひどく恐ろしく見える。
    犯人というものが存在するとして、その意志も読めない。
    なんでこんな、ややこしい方法で、人を殺、さなきゃいけないの?
    人間同士のやりとりが、まったく、ない。
    壁との、やりとりである。
    だから感情とか目的が読めない。
    意味わかんない。
    わあわあ泣くのも違う。
    狂ったように暴れまわるのも違う。
    ただ、わけがわからない。
    わけがわからないまま、ゆっくりと確実に死が近付いてくる。
    どのくらい時間が経ったのだろう。
    立ち上がると、髪の毛が、かすかに天井に触れるようになった。
    いよいよ部屋が狭い。閉塞感。
    最初は頭の先が天井につっかえるのが新鮮な体験で、面白かった。
    しかし、すぐに飽きて、不快になり、恐怖が襲う。
    天井が低いのは本当にやりきれない。
    息のつまる思いだ。
    朝のラッシュの満員電車、あんなに、ぎゅうぎゅう詰めの中で我慢出来るのは、天井が高いからかもしれない。
    もし満員電車で、頭スレスレの所に天井があったら、どうなるだろう。
    何人か発狂するのではないだろうか。
    もう歩き回ることが難しい。
    狭さもあるけど、何より頭がつっかえるからである。
    普段は意識しないけど、歩いているとき人間の頭は意外と上下に動く。
    もちろんそれは、ほんの数ミリ程度のブレ幅なのだろうけど、高さがギリギリの部屋では、それが、いちいち、つっかえる。
    くそイライラする。
    もう体を伸ばすことは出来なくなった。
    出来ないとなると無性にしたくなるのは何故だろう。
    これ以上、狭くなると、平静を保つ自信はない。
    まだ発狂していないのが不思議である。
    そのうち壁に手をつき足をつき、思い切り力をいれて突っ張ることで、床に触れずに空中に浮かぶことが出来るようになった。
    べつに遊んでいるわけではない。
    壁を押し戻すことが出来ないか試しているのである。
    圧力に抵抗してみる。
    顔が真っ赤になり、血液が沸騰しそうになる。 
    ふと右手の親指が視界に入る。
    爪先がギザギザに歪んでいる。
    少し出血もしている。
    無意識のうちに噛んでいたようだ。
    出血してしまうくらいに強く。
    ものすごい、おびえている。
    もう冷静ではいれない。
    あーっ!って、思いっきり叫んだ。
    そうだ、この部屋の壁のような気持ちを前にも味わったことがある。
    子供の頃、世界は無限に広いと感じていた。
    将来なんだって出来るし、どこにだって行けると信じていた。
    しかし歳をとるにつれて、それがどうやら間違っていたらしいことに気付く。
    世界に限界があることに気付いて、越えられない壁を感じた。
    もしかしたら、あのときから、壁は存在していたのではないか。
    壁があったとしても、子供だったから、まだ行動できる範囲がとても広かったから、部屋として認識出来なかっただけではないか。
    そう考えたら、なんだかスマートだ。
    この部屋は誰にでもある。
    この部屋は人間の人生を表現しているのかもしれない。
    それが私は、今なのだ。
    生まれながらに、人は部屋に閉じ込められているのか、そうなのか、なるほど。
    そんなことを考えて、なんだか少し安心していると、肺が圧迫されはじめた。
    息がまともに出来ない。
    かなり努力して呼吸をしないと、空気が肺に入ってこない。
    押し込められているから自然と空気を吐いてしまう。
    背中がメリメリと痛い。腰も痛い。頭も痛い。あらゆる間接が無理をしている。
    体育座りをしながら顔を足と足の間に埋めて、
    人間はこんなにも小さくなれるものかと感心したけど、そろそろ限界だ。
    嘔吐に近い感覚で喉が動いている。
    ああ暑い。なんて暑いんだ。
    筋肉がおかしな感覚。
    伸びきった感じがするんだけど、実際には潰されている。
    あっ、肉が剥がされたような痛み。
    断裂したのか、びりびりーって、ポスターをやぶった感じ。
    もはや痛いとか痛くないとかじゃない。
    かなり前から全身が痛いから、どこが切れたのかすら、わからないのだ。
    痛みに慣れ、飽きてきた。
    早く殺、してほしい。
    耳栓をしたかのように聴覚がない。
    味覚もない。舌がゴムになったかのようである。
    なんだか真っ暗だ。
    さっきまで瞼の裏で真っ赤なものが見えていた気がする。
    眼球が取れたってことかなあ。
    すべての感覚が消え去った、暗い空間の中。
    私は、はっきりと、鮮やかな音を聞いた。
    それは首の骨が折れた音でした。

  • ゆがんで あえぐ おじかん です
    ゆがんで あえぐ おじかん です

    お風呂上がり、イモコはコップにオレンジジュースを注いで飲み、
    もう既にお風呂に入ってソファーでうたた寝をしている彼氏のポチオを起こす。
    同棲して二年が経とうとしている。
    ポチオはパジャマの上にセーターを着て、くしゃくしゃの洗い髪のまま眠っていた。
    「ほら起きて。一酸化炭素中毒になっちゃうでしょう」
    部屋の中は暖房が効いている。
    ポチオは眠そうな顔で、薄目をあけて、もぞもぞと起き上がると、私の腰をいきなり抱きすくめる。
    「先月、どこ行ったの?」
    「え、なんの話?先月?」
    「本当に『ひとりで温泉旅行』だったの?」
    私は表情ひとつ変えずに「うん、ひとりが好きだから」と答えた。
    なんで今更、先月の話をしてくるのだろう。
    そのときは、なんにも言わずに「行ってらっしゃい」って言ってくれたのに。
    ポーカーフェイスを装いながら、
    先月のことを今の今まで疑っていたのだろうか。
    女というのは生まれながらの女優だけど、
    男というのも時々、何を考えているかわからない生き物である。
    ふうん、と、ポチオは、つまらなさそうに鼻を鳴らした。
    そして、ポチオは、がばりと起き上がり、ラジオを消すと、水割りが入っていたらしいグラスを片付けた。
    こういうとき、
    この人は私の何もかもを知っているのかもしれない、と思う。
    確かに私は、あの日、ひとりではなかった。
    ひょっとすると一緒に出かけた相手の名前も、ち、んぽの大きさも、どんなキスをするのかも、どんな方法で私をイカせたのかまで把握しているのではないか。
    そんなわけがないけど、そんな気がしてきて、私はポチオのことを奇妙に思う。
    浮気。
    愉快な言葉ではないけれど、本当にそうとしか言いようがない。
    もちろん感情が入るパターンだってあるけど、
    あのときに限っては本当に浮気としか言いようがない。
    どう違うねんって、ぜんぜん違う。
    もちろんポチオは、そこまで深く突っ込んで聞いてくる種類の男ではない。
    だからこそ、今の今まで、聞きたくても、聞くのを我慢していたのだろう。
    きっとポチオは、私のことなら、知っているんだ。
    私の前世だって知っているような気がするし、来世だって知っているのかもしれない。
    こわい、だいすき、あいしてる、破壊したい。
    と今、思っている私の気持ちすら、知っているのかもしれない。
    その恐怖を拭うために、
    私は言葉に出してみた。
    「ポチオって、存在がスピリチュアルだね。
    こわい、だいすき、あいしてる、破壊したい」
    そう言うと「破壊してくれよ」と言いながら、近付いてきたので、
    私はポチオのことを再度、ソファーに押し倒して、ポチオの首を絞めながらキスをした。
    「そんなんじゃ俺のことは破壊できないよ」
    「うん、わかってる」
    ある日の夜、寝室に入っていくと、ポチオはもうベッドの中にいた。
    私が電気を消そうとしたその瞬間、布団の隙間からポチオの目が、私のことを突き刺していることに気付いた。
    え、こわい。
    なんか、めっちゃ睨まれている。
    突き刺してくるようなポチオの眼球が怖い。
    私が布団に入った瞬間に、ポチオは私のことを殺めそうである。
    だから私は電気を消す予定だった手をピタリと止めて、その手を再びドアに戻し、寝室から出ていった。
    なんだかよくわかんないけど、
    ポチオは怒っている。
    私はソファーで寝よう。
    そう思ってソファーに横になっていると、ポチオからラインが届いた。
    「なんで出てくねん」
    「だって、めっちゃ、こわいかおしてた」
    「してねーよ」
    「してた、がんきゅうが、ひかってた」
    「なんだそれ、おれは、ようかいか」
    「おやすみなさい」
    「なんでだよ、いっしょに、ねようよ」
    「やだよ、わたしのこと、ぶっこ、ろすつもりでしょう」
    「ぶっこ、ろされたい願望はあるけど、ぶっこ、ろそうなんて思ったことないよ」
    「ポチオは、わたしに、ぶっこ、ろされたいの?」
    「うん」
    「おかしいんじゃないの」
    「うん、はやく、きて」
    わたしは、寝室に戻り、ポチオの首を絞めながら、またがってみた。
    「そんなんじゃ俺のことは、ぶっこ、ろせないよ」
    「うん、知ってる」
    ポチオの耳の裏からは、夜の冬の匂いがする。
    「イモコは、おれのこと、怖がっているの?」
    よくわからない、なんだかスピリチュアルな、その質問に、
    「意外に、そうでもないよ」
    と私は答えた。

  • ゆがむ おじかん です
    ゆがむ おじかん です

    五年間、愛用していた耳掻きが、折れてしまった。
    彼女のイモコが、交際当初にプレゼントにくれたものである。
    ピンク色の眼球がついた奇抜で可愛い耳掻きである。
     
    まるで監視されている気分である。
    実際にイモコは束縛が激しい。
    その眼球の中に盗聴機が仕込まれているのではないかと心配になったほどである。
    なんで耳掻きなんてくれるねんって、僕が暇さえあれば、耳ばっかりほじっているからである。
    「あなたね、そんだけ耳ばっかり、ほじくっているわりに、ときどき、私の話を聞いていないからね。
    みみくそ、ぜんぶ、とりだしなよ」
    とイヤミを言われながらプレゼントされた。
    昨晩、耳掻きしながら、ベッドで本を読んでいるうちに眠り込んでしまった。
    明け方、とても冷えた。
    北極海で溺れて水面に顔を出したような気分で目が覚めた。
    そんな夢を見ていたのかもしれない。
    起きた瞬間、右の耳に異物感があった。
    そっと手をやると、細い棒が突き出ていた。
    寝返りを打って、耳掻きを折ってしまったのだ。
    枕元を探すと、ふわふわの綿毛がついた部分が出てきた。
    眼球も、くっついている。
    僕は二本の残骸をゴミ箱に投げ捨てた。
    その二本の残骸は、
    五年間かきだし続けた耳垢と同じ運命を、まさか自分が辿ることになったとは、にわかに信じられなかったのか、
    ピッタリと身を寄せあい、額に(眼球に?)汗して働いていた頃の記憶にしがみついていた。
    しかし、困ったことになった。
    その日から僕の精神状態がおかしくなった。
    僕は耳掻きがないと、頭蓋骨におからが詰まったような気分になってしまって、人、物問わず、当たり散らすようになった。
    部屋の床を引っ掻いて、爪を剥がした。
    まるで錯乱状態の猫である。
    耳を爪楊枝でほじくって、流血させた。
    新しい耳掻き買えば?って感じだけど、
    僕は、もう、あの耳掻きじゃなきゃダメなのだ。
    彼女がくれた眼球つきの耳掻きで、まるで彼女に監視されているような心持ちで耳をほじることが快感なのだ。
    さしあたって、今すぐ耳をかきたいというわけではなかったけれども、ないと落ち着かない。
    手元にあると安心するけど、なくなると不安になる。
    それは恋愛でも同じ事であろう。
    そのあと、僕は彼女に会った。
    彼女に会ってみたけど、精神状態が落ち着くことはなく、荒々しく「お前」呼ばわりをしてみたら、
    「調子のんな内弁慶」と言われながら、灰皿で頭をぶん殴られて「すみませんでした」と、哀れな犬のような眼差しで謝罪をした。
    こういう彼女で本当に良かったと思う。
    こういう彼女だから僕は5年も続いている。
    交際当初は無口で、
    おとなしく後ろをついてくるような彼女だったけど、
    今では、すっかり尻にしかれている。
    どちらかが我慢するとかはなく、
    お互いに、よく、ぶちぎれ、よく、発狂して、よく、愛し合っている。
    最終的には僕が「すみませんでした」と言って終わる。
    「いもこちゃん」
    と呼び直して、甘えてみたら、頭を撫でてくれた。
    でも僕は、今は、そんなのはいらない。
    むしろ、気が立っているから、さわんじゃねぇ、殺、すぞとすら思う。
    でも、そんなこと言ったら、今度はフライパンで叩かれるかもしれない。
    耳掻きがほしい。
    だから1日中、不機嫌でいる僕にたいして、イモコも不機嫌になり、険悪なムードになった。
    どう考えても僕が悪いんだろうけど、
    なんだよ、この女うっぜぇと逆ギレのような気持ちが沸いてきたけど、逆ギレしたら殺、されそうだから、僕は精一杯、不機嫌になる。
    イライラしてイライラしてイライラして、イライラすることが好きなドMな僕たちは、その日から、そのまま一緒に暮らしはじめて、イライラする毎日を送りはじめた。
    一緒に暮らしはじめると、
    イモコの束縛とか高飛車な態度はさらにひどくなり、
    僕はイモコのことが嫌いになった。
    だらしないし。 
    嫌いになったけど、
    ドMな僕は耐えた。
    「おやすみなさい」
    電気を消した。
    部屋の中は闇に包まれた。
    最近は、もうずっと、せ、っくすレスである。
    イモコから僕を求めてくることは多分、もう二度とない気がするし、
    僕も、べつにイモコとやりたくはない。
    だけどイモコの布団にすべりこみ、ちょっかいは出したい。
    でも冷たくあしらわれたら嫌だから、そんなことは出来ない。
    そうしたっていいのかもしれない。
    冷たくあしらわれたっていいのかもしれない。
    でも僕は、それは嫌だ、傷つく。
    そんな思いするくらいなら、一生、耳掻きが出来ない方がマシである。
    だから僕は、イモコが予備に使っているマイメロディの枕を勝手に使って眠る。
    イモコのにおいがするからである。
    僕は何気なく寝返りを打って、それでも眠れなくて、うつ伏せになってみる。
    顔をマイメロディの枕に押しあてながら、大きく深呼吸をした。
    大きく深呼吸をして、そのにおいを嗅いだとたん、僕はパチリと目を開いた。
    心臓が止まりそうだった。
    僕が思考停止していると、隣の布団からイモコの、いびきが聞こえてきた。
    僕はその寝息を聞きながら「いもちゃん」と小声で呼んでみたけど、イモコの寝息は乱れることはなかった。
    僕が留守にしている間に、いつの間にか男を連れ込んでいたんだね。
    僕はマイメロディの枕に、ファブリーズをしまくった。
    これ、ぜんぜんイモコのにおいじゃないもん。
    いつものにおいと違うもん。
    どんだけ僕のこと、ばかにしているの。
    神経質な僕(筋金入りのA型)は、においには、かなり敏感で、イモコが何を食ったかすら、わかる鼻である。
    僕のこと束縛して、僕のこと思い通りにしようとするのに、自分は浮気しているの?
    僕は、ゆっくりと起き上がり、寝室とは逆方向の台所に向かう。
    薄い闇の中で、流しの傍の包丁だけが鈍く光って見えた。
    その包丁にも眼球がついていて、奇抜で可愛い。
    僕は、彼女がくれた耳掻きじゃなきゃ、耳がほじれないと思ったくらい、彼女のことが好きだ。
    そして僕は、今、この包丁がいい。と思っている。
    この包丁が大好き。
    僕はそれを手にとり、寝ているイモコの体に、そっと、またがった。

  • あえいで ゆがむ おじかん です
    あえいで ゆがむ おじかん です

    私は33歳になっている。
    射手座の甘えん坊彼氏がいる。
    せ、っくすをしていて、手マンをされている最中に私が寝てしまうと、高飛車な彼氏は腹を立てたらしく、
    もういいっ!ぷんっ!
    と怒りながら帰ってしまった。
    だから私はラインの画面を開いて、
    少し考えた結果、
    涙を流したうさぎのスタンプを五回くらい連打してみた。
    「もう連絡してくんな」
    と返信がきたので、
    私は、
    少し考えた結果、
    号泣しているガチャピンのスタンプと共に「ごめんね、だいすき、あいしてる、破壊したい、閉じ込めたい」と送信したあとに、
    そっとしておいた。
    そしたら一週間後に、何事もなかったかのように、連絡がきた。
    だから、ハートを抱き締めているウサギのスタンプを三回くらい連打してみたら、彼氏が六回くらいスタンプを連打し返してきたので、
    テンポよく十回くらいスタンプを連打してみた。
    満足したらしく、「すき」と来た。
    かわいい坊やだわと思いながら、
    そのあとデートをしたら、彼氏がまた不機嫌になった。
    「もういいっ!こっち、くんな!」
    と言いながら、ぷんすかと怒り、すかした表情で、かっこつけてスタスタと歩き出した。
    私が立ち止まって、そんな彼氏を眺めていると、彼氏が、こっちを、ちらりと振り返って、また前を見た。
    だから私が寂しそうな表情をしてみると、
    彼氏が顔だけを動かして何度も、こっちを見てくる。
    だから私も背中を向けて、顔だけをチラチラと動かして、彼氏のことを見てみる。
    そしたら
    「こっち、みんな」
    ってラインがきたから、
    私は、少し考えたあとに、カチカチと指を動かした。
    「だって、あまりにも、かっこいいから。
    あんなに、かっこいい人が私の彼氏なんだなー、自慢したいなー、腕組んで歩きたいなー、なんで怒ってるんだろうな、こっち来てほしいな、早く触りたいなって思って、見とれちゃった」
    って返信してみたら、
    彼氏が、体ごと、くるりと、こっちを見た。
    よっしゃ!と思って、
    私も、体ごと、くるりと、そっちを見た。
    そしたら彼氏が、こっちに向かって走ってきた。
    こうして私たちは情熱なハグをかわした。
    「さみしかったさみしかった」
    「わたしもわたしも」
    そのあとも、
    突然、不機嫌になる高飛車な彼氏を、
    ほどほどに、追いかけて、
    ほどほどに、そっとしておくことを、
    二年くらい繰り返して、私たちは籍をいれた。
    結婚して一年がたったころ、
    私は旦那のことが大嫌いになったので、旦那のご飯に毎回、少量づつ毒を混ぜて、殺、した。
    そのあと逮捕されて、13年が経った頃に、出所をした。
    ベンチでタピオカを飲んでいると、声をかけられた。
    「うちに、くるかい」
    「住んでもいいなら、いく」
    「いいよ」
    こうして、私は、初対面の男と一緒に暮らし始めた。
    彼も射手座である。
    とても優しく寛大で、とても博識があり、とても大人で、しっかりしている。
    思ったことはハッキリ言う人だけど、
    それも言葉をひとつひとつ選んで、思慮深い。
    彼が他人に傷つけられることはあったとしても、
    彼が人に意地悪したり、傷つけようとすることは、絶対にない。
    手マンしている最中に眠っても、怒ったりはしない。
    けど、浮気性である。
    ぜんぶ揃っている男はいないんだなと思う。
    でもぜんぜん許容できる範囲である。
    そして、今日も仲良く、包丁のスタンプを連打しあう。

  • あえいで ゆがむ おじかん です
    あえいで ゆがむ おじかん です

    私は33歳になっている。
    射手座の彼氏がいる。
    せ、っくすをしていて、手マンをされている最中に私が寝てしまうと、高飛車な彼氏は腹を立てたらしく、
    もういいっ!ぷんっ!
    と怒りながら帰ってしまった。
    だから私はラインの画面を開いて、
    少し考えた結果、
    涙を流したうさぎのスタイルを五回くらい連打してみた。
    「もう連絡してくんな」
    と返信がきたので、
    私は、
    少し考えた結果、
    号泣しているガチャピンのスタンプと共に「ごめんね、だいすき、あいしてる、破壊したい、閉じ込めたい」と送信したあとに、
    そっとしておいた。
    そしたら一週間後に、何事もなかったかのように、連絡がきた。
    だから、ハートを抱き締めているウサギのスタンプを三回くらい連打してみたら、彼氏が六回くらいスタンプを連打し返してきたので、
    テンポよく十回くらいスタンプを連打してみた。
    満足したらしく、「すき」と来た。
    かわいい坊やだわと思いながら、
    そのあとデートをしたら、彼氏がまた不機嫌になった。
    「もういいっ!こっち、くんな!」
    と言いながら、ぷんすかと怒り、すかした表情で、かっこつけてスタスタと歩き出した。
    私が立ち止まって、そんな彼氏を眺めていると、彼氏が、こっちを、ちらりと振り返って、また前を見た。
    だから私が寂しそうな表情をしてみると、
    彼氏が顔だけを動かして何度も、こっちを見てくる。
    だから私も背中を向けて、顔だけをチラチラと動かして、彼氏のことを見てみる。
    そしたら
    「こっち、みんな」
    ってラインがきたから、
    私は、少し考えたあとに、カチカチと指を動かした。
    「だって、あまりにも、かっこいいから。
    あんなに、かっこいい人が私の彼氏なんだなー、自慢したいなー、腕組んで歩きたいなー、なんで怒ってるんだろうな、こっち来てほしいな、早く触りたいなって思って、見とれちゃった」
    って返信してみたら、
    彼氏が、体ごと、くるりと、こっちを見た。
    よっしゃ!と思って、
    私も、体ごと、くるりと、そっちを見た。
    そしたら彼氏が、こっちに向かって走ってきた。
    こうして私たちは情熱なハグをかわした。
    「さみしかったさみしかった」
    「わたしもわたしも」
    そのあとも、
    突然、不機嫌になる高飛車な彼氏を、
    ほどほどに、追いかけて、
    ほどほどに、そっとしておくことを、
    二年くらい繰り返して、私たちは籍をいれた。
    結婚して一年がたったころ、
    私は旦那のことが大嫌いになったので、旦那のご飯に毎回、少量づつ毒を混ぜて、殺、した。
    そのあと逮捕されて、13年が経った頃に、出所をした。
    ベンチでタピオカを飲んでいると、声をかけられた。
    「うちに、くるかい」
    「住んでもいいなら、いく」
    「いいよ」
    こうして、私は、初対面の男と一緒に暮らし始めた。
    彼も射手座である。
    とても優しく寛大で、とても博識があり、とても大人で、しっかりしている。
    思ったことはハッキリ言う人だけど、
    それも言葉をひとつひとつ選んで、思慮深い。
    彼が他人に傷つけられることはあったとしても、
    彼が人に意地悪したり、傷つけようとすることは、絶対にない。
    手マンしている最中に眠っても、怒ったりはしない。
    けど、浮気性である。
    ぜんぶ揃っている男はいないんだなと思う。
    でもぜんぜん許容できる範囲である。
    そして、今日も仲良く、包丁のスタンプを連打しあう。

  • せつなく ゆがんで とける おじかん です
    せつなく ゆがんで とける おじかん です

     
    私は35歳になっている。
    交際して一年がたとうとしている魚座の彼氏がいる。
    彼氏はよく私に「他に好きな男ができたら、そっちに行っていいからね」と言ってくる。
    なんてこというねん、と最初は戸惑ったけど、それは決して愛がないわけではないということは、普段の態度から理解できたし、軽く見ているとか、軽はずみに言っているわけじゃないのは理解できたので、
    私は、その言葉を
    「わかったよ」
    と、ふんわりと受け取った。
    そして、一年半がたったころに、彼に好きな女が出来たみたいだ。
    「すきなおんなができたから、わかれましょう」
    とラインがきた。
    「すこしだけ、あえる?」
    と返信したら、
    「あえない」
    と、あっさりと拒絶されてしまった。
    頭にきたから、
    呪いと書かれたホラースタンプを3回くらい連打してみたら、既読無視された。
    私は、彼とつけていたペアリングを眺めたあと、指から外し、トイレに流してみた。
    詰まるかな。
    詰まらない、私は、進む。
    そのあと、私は、新しい男と同棲を始めた。
    新しい男も魚座である。
    新しい男は「他に好きな男ができたら、自、殺する」と言ってくる。
    そして交際して三年が経った頃に、私は好きな男が出来た。
    「すきなおとこができたから」とか余計なことは一切言わずに、
    「あなたのこと好きじゃなくなった」と言ってみたら、
    「また好きになるよ」と、わけのわからないことを言われながら、流された。
    そんな、やりとりを、たぶん100回くらいして、
    その返しが面白くて、
    どの返しも面白くて、
    話が通じなくて、
    まじで面白くて、
    軽く流されることがイライラして面白くて、
    あっさりと流されることがイライラして面白くて、
    自信満々なことがイライラして面白くて、を繰り返しているうちに、
    なんだか好きになってしまって、私は頬を赤らめた。
    この男の場合は、
    ふられたことが悔しくて憎くて、
    ムキになって言っているとか、
    意地になって言っているとか、
    そうゆうのとも種類が違って、
    この男は本当に根拠のない自信をもって「俺ほど優しい人間とか俺ほど寛大な人間はいないから、絶対におれのことを好きになる」と平然と言うのだ。
    究極のサイコパスである。
    「どうせ、おれのこと、すきになるよ」
    その言葉は勘違い野郎の発言でもなんでもなく、
    実際に私は、あー私この男、まじで、うざくて、だいすきだと思ってしまった。
    こんな男みたことない、やばい、すき、けっこんしたい、こどもをうみたい、だいてほしい、かみちぎりたい、はかいしたい、とじこめたい、わたしのもの、こんなに面白い男、他の女に取られたくないと思ってしまった。
    あと彼の顔と喋り方がとても好みだったこともあり、別れることなんて、もうどうでもいいやと思った。
    しかもクン、ニが上手なので、
    このクン、ニを、もう二度と体験できなくなるのは寂しいと思うようになり、結局、別れないことにした。
    だから、二股をしてみた。
    世の中、イレギュラーなことも起こるのだ。
    結局、新しい交際相手とは、一年もたたないうちに別れて、
    (もっと若い女の子がいいと言われながら、ひどいふられかたをした)
    私は、話が通じないクレイジーで愉快でポジティブな彼氏と、籍をいれた。
    結婚して5年がたったころ、
    旦那が冷蔵庫から麦茶を出しながら、突然こう呟いた。
    「あのとき」
    「あのとき?どのとき?」
    「俺に別れ話したとき」
    「あー、なつかしいね」
    「おれのこと好きじゃなくなったって言ったけど、
    他に男が出来たこと気付いてた」
    「気付いてたの?
    気付いてて、なんで自、殺しなかったの?
    自、殺するって言ってたじゃん」
    「戻ってくる自信があったから」
    うちの旦那の、その根拠のない自信は一歩間違えると、とんでもない嫌悪感を抱く女も間違いなく存在するであろう。
    私も、相手によっては
    「なにこいつ、うざい、しつこい、かんちがいやろう」
    と思ってしまったかもしれない。
    あまりのうざさと、しつこさに、相手によっては、ブロックしてしまったかもしれない。
    相手によっては、ますます嫌いになったかもしれない。
    なのに、なぜだろう、旦那にたいしては思わないのだ。
    なぜか旦那が、それを言うと面白いのだ。
    なんだか、まるで、それが普通なのではないかという気持ちになってきて、なんだか私は、いつも旦那にマインドコントロールされている気がする。
    なぜか旦那が何をしても、何を言っても、愉快で、好きなのだ。
    付き合っているときも、
    結婚した現在も、
    旦那が怒っている姿など見たことはない。
    ただ、ちょっと話が通じなくて、発達障がいなのかなと思う瞬間がある。
    だけど間違いなく旦那は私のことを傷つけたりはしないし、
    私が誘拐されたら、一生をかけて、探してくれそうである。
    そして、
    間違いなく私は旦那のことを嫌いにはならない。
    そして、それが、愛なのだと気付く。
    旦那に洗脳されたというか、
    旦那と一体化した私が、
    「あなたを失ったら、わたし自、殺する」
    と言ってみたら、
    「ありこは死なないよ」
    と言うのだ。
    そう言われると、なんだか、そんな気がしてくる。
    旦那がいなくなっても、私は、死なない気がしてくる。
    もしも
    「死ぬよ」
    と言われたら、たぶん、そんな気がしてくるのだろう。
    そうか私は、旦那がいなくなると、死ぬのかって気持ちになってくるのだろう。
    旦那は1日に少なくとも10回は私のことを「かわいい」と言う。
    「世の中の女みんなブスだけど、ありこは可愛い」
    と言うのだ。
    旦那がそう言うと、
    なんだか、そんな気がしてきた。
    世の中の女みんなブスだけど、私は、かわいい。
    私は旦那にマインドコントロールされている気がするんだけど、
    だけど旦那から言わせてみると、
    旦那は旦那で「ありこがマインドコントロールしてくる」と言うのだ。
    「可愛いって言わなきゃ、刺される気がする」
    とか言うのだ。
    旦那が私のことを好きなのは、私が旦那のことをマインドコントロールしていて、私が旦那のことを好きなのは、旦那が私のことをマインドコントロールしているのだろうか。
    なんだろう、それ。
    今日の夜ご飯は、肉団子鍋にしよう。
    そのあとは子作りだ。

  • せつなく ゆがんで とける おじかん です
    せつなく ゆがんで とける おじかん です

     
    私は35歳になっている。
    交際して一年がたとうとしている魚座の彼氏がいる。
    彼氏はよく私に「他に好きな男ができたら、そっちに行っていいからね」と言ってくる。
    なんてこというねん、と最初は戸惑ったけど、それは決して愛がないわけではないということは、普段の態度から理解できたし、軽く見ているとか、軽はずみに言っているわけじゃないのは理解できたので、
    私は、その言葉を
    「わかったよ」
    と、ふんわりと受け取った。
    そして、一年半がたったころに、彼に好きな女が出来たみたいだ。
    「すきなおんなができたから、わかれましょう」
    とラインがきた。
    「すこしだけ、あえる?」
    と返信したら、
    「あえない」
    と、あっさりと拒絶されてしまった。
    頭にきたから、
    呪いと書かれたホラースタンプを3回くらい連打してみたら、既読無視された。
    私は、彼とつけていたペアリングを眺めたあと、指から外し、トイレに流してみた。
    詰まるかな。
    詰まらない、私は、進む。
    そのあと、私は、新しい男と同棲を始めた。
    新しい男も魚座である。
    新しい男は「他に好きな男ができたら、自、殺する」と言ってくる。
    そして交際して三年が経った頃に、私は好きな男が出来た。
    「すきなおとこができたから」とか余計なことは一切言わずに、
    「あなたのこと好きじゃなくなった」と言ってみたら、
    「また好きになるよ」と、わけのわからないことを言われながら、流された。
    そんな、やりとりを、たぶん100回くらいして、
    その返しが面白くて、
    どの返しも面白くて、
    話が通じなくて、
    まじで面白くて、
    軽く流されることがイライラして面白くて、
    あっさりと流されることがイライラして面白くて、
    自信満々なことがイライラして面白くて、を繰り返しているうちに、
    なんだか好きになってしまって、私は頬を赤らめた。
    この男の場合は、
    ふられたことが悔しくて憎くて、
    ムキになって言っているとか、
    意地になって言っているとか、
    そうゆうのとも種類が違って、
    この男は本当に根拠のない自信をもって「俺ほど優しい人間とか俺ほど寛大な人間はいないから、絶対におれのことを好きになる」と平然と言うのだ。
    究極のサイコパスである。
    「どうせ、おれのこと、すきになるよ」
    その言葉は勘違い野郎の発言でもなんでもなく、
    実際に私は、あー私この男、まじで、うざくて、だいすきだと思ってしまった。
    こんな男みたことない、やばい、すき、けっこんしたい、こどもをうみたい、だいてほしい、かみちぎりたい、はかいしたい、とじこめたい、わたしのもの、こんなに面白い男、他の女に取られたくないと思ってしまった。
    あと彼の顔と喋り方がとても好みだったこともあり、別れることなんて、もうどうでもいいやと思った。
    しかもクン、ニが上手なので、
    このクン、ニを、もう二度と体験できなくなるのは寂しいと思うようになり、結局、別れないことにした。
    だから、二股をしてみた。
    世の中、イレギュラーなことも起こるのだ。
    結局、新しい交際相手とは、一年もたたないうちに別れて、
    (もっと若い女の子がいいと言われながら、ひどいふられかたをした)
    私は、話が通じないクレイジーで愉快でポジティブな彼氏と、籍をいれた。
    結婚して5年がたったころ、
    旦那が冷蔵庫から麦茶を出しながら、突然こう呟いた。
    「あのとき」
    「あのとき?どのとき?」
    「俺に別れ話したとき」
    「あー、なつかしいね」
    「おれのこと好きじゃなくなったって言ったけど、
    他に男が出来たこと気付いてた」
    「気付いてたの?
    気付いてて、なんで自、殺しなかったの?
    自、殺するって言ってたじゃん」
    「戻ってくる自信があったから」
    うちの旦那の、その根拠のない自信は一歩間違えると、とんでもない嫌悪感を抱く女も間違いなく存在するであろう。
    私も、相手によっては
    「なにこいつ、うざい、しつこい、かんちがいやろう」
    と思ってしまったかもしれない。
    あまりのうざさと、しつこさに、相手によっては、ブロックしてしまったかもしれない。
    相手によっては、ますます嫌いになったかもしれない。
    なのに、なぜだろう、旦那にたいしては思わないのだ。
    なぜか旦那が、それを言うと面白いのだ。
    なんだか、まるで、それが普通なのではないかという気持ちになってきて、なんだか私は、いつも旦那にマインドコントロールされている気がする。
    なぜか旦那が何をしても、何を言っても、愉快で、好きなのだ。
    付き合っているときも、
    結婚した現在も、
    旦那が怒っている姿など見たことはない。
    ただ、ちょっと話が通じなくて、発達障がいなのかなと思う瞬間がある。
    だけど間違いなく旦那は私のことを傷つけたりはしないし、
    私が誘拐されたら、一生をかけて、探してくれそうである。
    そして、
    間違いなく私は旦那のことを嫌いにはならない。
    そして、それが、愛なのだと気付く。
    旦那に洗脳されたというか、
    旦那と一体化した私が、
    「あなたを失ったら、わたし自、殺する」
    と言ってみたら、
    「ありこは死なないよ」
    と言うのだ。
    そう言われると、なんだか、そんな気がしてくる。
    旦那がいなくなっても、私は、死なない気がしてくる。
    もしも
    「死ぬよ」
    と言われたら、たぶん、そんな気がしてくるのだろう。
    そうか私は、旦那がいなくなると、死ぬのかって気持ちになってくるのだろう。
    旦那は1日に少なくとも10回は私のことを「かわいい」と言う。
    「世の中の女みんなブスだけど、ありこは可愛い」
    と言うのだ。
    旦那がそう言うと、
    なんだか、そんな気がしてきた。
    世の中の女みんなブスだけど、私は、かわいい。
    私は旦那にマインドコントロールされている気がするんだけど、
    だけど旦那から言わせてみると、
    旦那は旦那で「ありこがマインドコントロールしてくる」と言うのだ。
    「可愛いって言わなきゃ、刺される気がする」
    とか言うのだ。
    旦那が私のことを好きなのは、私が旦那のことをマインドコントロールしていて、私が旦那のことを好きなのは、旦那が私のことをマインドコントロールしているのだろうか。
    なんだろう、それ。
    今日の夜ご飯は、肉団子鍋にしよう。
    そのあとは子作りだ。

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