あ~イク恋愛生欲情の扉

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2021年 1月 の写メ日記一覧
宝乃ありな

宝乃ありな(26歳)

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  • あえいで ゆがむ おじかん です
    あえいで ゆがむ おじかん です

    のりこちゃんの描く女の子は、いつも裸だった。
    目の上で、ぱつんと切った前髪の愛らしい顔立ちの女の子が、幼児体型で描かれる。
    女の子は短い手足を伸ばして、部屋の中で大の字になる。
    外に出掛けて、花を摘んだりする。
    湖で泳ぐこともあり、マフラーだけを巻いてスケートに興じたりもするけど、
    共通するのは、常に一人きりだということである。
    女の子はひとりで遊び、ひとりでたらふくごはんを食べ、酒をのみ、ぐうぐうと眠る。
    ときどき、オナ、ニーをしていることもある。
    「また裸だ。なんで裸ばっかり書くの?」
    「裸が好きだから」
    「そうかあ」
    そんな会話をしたのを覚えている。
    そんな、のりこちゃんが男遊びが激しくなったのは、いもこが把握している限りでは、17歳の頃だったと思う。
    いもこが思うに、
    その頃から、のりこちゃんは素の自分を表に出し始めた。
    ダイエットもしなくなったし、いっぷう変わった帽子をかぶり始めた。
    可愛いのりこちゃんには、言い寄ってくる男が、たくさんいた。
    それは、まるで石をどかしたら、隠れていた虫たちが沸いてくるように出現した。
    のりこちゃんは、きっと、石をどかしたのだ。
    かのじょを押さえつけていた漬物石みたいな重たいのを、美しい指で。
    そんなふうに遊んでばかりいたのりこちゃんは、男に恨まれ、ある日、硫酸をかけられた。
    顔が焼けるのをかばうため、手で制したのりこちゃんは、指を失った。
    利き手を失ったのりこちゃんは、二度と絵を描けなくなった。
    それから月日は流れ、
    現在、のりこちゃんと、いもこは、35歳。
    のりこちゃんは、今も可愛いし、結婚もしている。
    今も可愛くて、そして、指がない。
    のりこちゃんは、最近、旦那以外に、彼氏が出来たみたいである。
    指がなくなっても、
    相変わらず、のりこちゃんは、のりこちゃんのままである。
    のりこちゃんは、よく、のろける。
    「そんなにイイんだ?その男」
    「うん。
    こんなに好きになった男、はじめてだわ」
    「旦那にバレないように楽しまなきゃね」
    「うん、うちの旦那は嫉妬深いから、バレたら、やばい」
    そんな、ある日、いもこは、のりこちゃんの彼氏と、せ、っくすをした。
    お世辞にもイケメンとは言えない。
    だけど、せ、っくすが、とても、いいのだ。
    その男は、とてもよかった。
    端的に言えばセクシーだった。
    小太りのくせに指や手首の末端が細く綺麗で、からだを重ねると、ぶよぶよとした肉越しに感じる骨も、きっと綺麗だと思われる。
    衣服を身に付けているときよりも、脱いだ時のほうが、存在感がある。
    ゆっくりゆっくりした指の動きで、いもこのことを昇らせた。
    いもこは今まで、せ、っくすはしたことあるけど、イッたことはなかった。
    35歳で初めての絶頂を迎えた。
    初めて昇りきったときの感覚を、いもこは忘れられない。
    すごく、よかった。
    初めて酒を飲んだ時よりも、頭も体もほどけていった。
    門をくぐったようだった。
    なんの門かは、わからない。
    終わりというものを見たような気もした。
    なんの終わりかは、わからない。
    しかし、繰り返される質のものだと、すぐに分かった。
    何度でも終わる。
    そうか、のりこちゃんは、彼の指で、こんな快楽を感じていたんだ。
    こんな快楽、のりこちゃんだけが、ひとりじめするなんて、ずるい。
    彼が、いもこの上になって運動をしている間、いもこは、うっとりと彼の背中に手を回していた。
    指で彼の背骨を確かめてみた。
    ここにメスをいれたら、どうだろうか。
    いもこは、彼の体にメスをいれてみる想像をした。
    脳天から肛門まで、かっきり二等分に分ける。
    黄色いプリプリした脂肪が、ぬいぐるみの詰め物のように飛び出すだろう。
    そしたら彼は、みるみるうちに、しぼむのだろうか。
    いもこは、彼の形の皮を綺麗に洗い、お金持ちの家の居間にありそうな虎の敷き物みたいに、なめす。
    それを、かぶって、彼になりすまし、なにくわぬ顔で彼の家に帰ったり、彼になりすまし、出社したり、彼になりすまし、のりこちゃんとせ、っくすをする。
    そんな妄想をして、吹き出しそうになりながら、いもこはポーカーフェイスを装った。
    そのあと、彼とせ、っくすをしたことが、のりこちゃんにバレた。
    のりこちゃんは遊び人だけど、
    どうやら彼には本気で惚れていたらしく、激怒して、いもこと縁を切った。
    いもこは悲しくなって、のりこちゃんのことを尾行したり、待ち伏せしたりした。
    「なんなのよ、あんた気持ち悪いわね」
    と、ますます嫌われてしまった。
    「どんな神経してるの?」
    と怒られた。
    その台詞を、のりこちゃんにだけは言われたくない、と思った。
    旦那いるくせに。
    塩酸かけられても懲りないくせに。
    いもこだって恋ぐらいしたこと、ある。
    その人のことを考えると、いもこの呼吸はため息に変わった。
    いもこの初恋は十三歳だった。
    その人に出会うまでに十三年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ていた。
    のりこちゃんに嫌われ、のりこちゃんに会わなくなってから、いもこは久しぶりに幼なじみのヨシオと再会した。
    ヨシオは、のりこちゃんの元カレ。
    のりこちゃんに塩酸をかけた男である。
    「ひさしぶりー」
    いもことヨシオは昔話で盛り上がった。
    「おまえ、むかし、おれのこと好きだっただろ」
    ヨシオが唐突に聞いてきたので、いもこはヨシオのことを見つめ返す。
    「だから、のりこが浮気していることを俺におしえて、関係をこわそうとしたんだろ」
    誰がお前なんか、と思いながら、いもこはポーカーフェイスを装った。
    いもこが好きなのは、のりこちゃんである。
    関係を壊そうとしたのは事実である。
    だって、のりこちゃんを取られたくなかったからである。
    まさか、ヨシオが、のりこちゃんに硫酸をかけるって展開までは想定外だった。
    のりこちゃんの綺麗な指がなくなったことは、いもこも残念だった。
    好きで好きで、たまらなかった。
    よしおと解散したあとに、
    いもこは、のりこちゃんの彼氏と会って、再びせ、っくすをした。
    のりこちゃんの彼氏は、いまだに、のりこちゃんと付き合っているらしい。
    のりこちゃんの彼氏は、独身で、マイホームに住んでいる。
    いもことのせ、っくすが終わり、
    彼がいびきをかいて眠っている。
    彼からはアルコールと油ねんどの匂いがする。
    ねんどというより下水のにおいだ。
    ベッドにあがり、彼の下腹部に股がった。
    彼がいびきをかきながら、ときどき舌を鳴らしている。
    美味しいものを食べている夢でも見ているのかもしれない。
    クン、ニしている夢でも見ているのかもしれない。
    誰のことクン、ニしているの?
    のりこちゃんのこと?
    やめてよ。
    たとえ夢の中でも、もう、のりこちゃんに近寄らないで。
    いもこは、
    爆睡している彼のことをベッドに拘束した。
    そのあと、いもこは彼の体から、そっとおりて、台所に行き、キャノーラ油とオリーブオイルを手に取る。
    ガソリンと蝋燭は、もともと持参してきた。
    ガソリンは匂うから、目をさますかな、と少し心配したけど、彼に起きる気はなさそうだ。
    ブリキのバケツを手に持って、マッチで蝋燭に火をつけていく。
    彼の体を二重に取り囲んだ蝋燭の、内側、外側と交互に火をつけていった。
    半周したところで、彼が動き出した。
    熱くなったのだろう。
    あーもー、動くな豚野郎。
    彼は寝返りを打とうとして、
    拘束されているからそれも出来なくて、でも熱くて、無理に腕を動かそうとしている。
    うごくな、うごくな、ぶたやろう!
    いもこは急いで、マッチを擦って、次の蝋燭に火をつけようとした。
    彼が暴れるので、ベッドが軋んだ。
    嫌な軋みかただった。
    蝋燭が倒れた。
    油とガソリンを染み込ませたシーツに引火して、炎が上がった。
    シーツが燃え始めた。
    黒い縁取りの焼け焦げが、まるで三越の包装紙の模様みたいに広がっていく。
    いもこは焦り過ぎて、火のついたマッチをベッドに落として、そこからも火の手が上がった。
    大慌てでベッドの付近に避難した。
    そのあと、外に飛び出した。
    だけどスマホを中に忘れてしまった。
    のりこちゃんから連絡がくるかもしれない。
    仲直りしようって連絡がくるかもしれない。
    あんだけ嫌われたから、
    そんな期待はむなしいだけとわかっているけど、いもこはスマホをとりに戻った。
    まだ間に合うかもしれない。
    寝室のドアのノブに手をかけた。
    熱くていったん、手を離した。
    長袖のTシャツを引っ張って、手をくるんでドアを開けた。
    熱気が押し寄せてくる。
    煙で中の様子が見えない。
    いや、なかが見えないのは煙のせいではなくて、においのせいで目を開けていられないのだ。
    彼が焼けるにおいが充満している。
    いもこは勇者のように奥へ奥へと進んでいく。
    彼の死体を見てみたい気持ちもある。
    足の裏が熱いと思ったのは一瞬の出来事で、たちまち他のところも熱くなり、耐えられないほど熱くなり、どこが熱いのかわからなくなる。
    痛いのか、熱いのか、わからない感覚のなかで、いもこは倒れた。
    いもこの口から魂のようなものが出ていった。
    薄れゆく意識のなかで、
    いつだか、のりこちゃんが描いていた、おかっぱ頭で幼児体型の女の子の絵を思い出した。
    あなたの燃えた指は、どんな匂いだったんだろう。
    会いたい。会いたい。
    そのあと、いもこは、おかっぱ頭の女の子に生まれ変わり、ブランコを漕いでいる。
    まだ小さくて幼いいもこは、上手に自転車を漕ぐことが出来ない。
    ママは右手の指がないので、いもこの背中を左手で押してくる。
    ママに、ぎゅーっとされると、なぜか悲しくなる。
    ママのスカートに顔をこすりつけて泣くと、
    「あら、どうして泣いてるの」
    と聞かれた。
    「ううん、なんでもない」
    よくわからないけど、なんだか、むねがぎゅーっとなる。
    だいすき、と、ママに言った。
    「ママもよ」
    と答えてくれた。
    「わたしが、いちばん?」
    と聞くと
    「もちろん」
    と言う。
    いちばんすきだよ。
    その言葉が、
    うれしくて、うれしくて、なんども、顔をこすりつける。
    まだ小さい、いもこは、うまく言葉が表現できない。
    ままのことが、だいすきよりも、ずっと、だいすき。
    うまれるまえから、ずっと。
    わたしは、うれしくて、だから、かなしい。

  • あえいで ゆがむ おじかん です
    あえいで ゆがむ おじかん です

    のりこちゃんの描く女の子は、いつも裸だった。
    目の上で、ぱつんと切った前髪の愛らしい顔立ちの女の子が、幼児体型で描かれる。
    女の子は短い手足を伸ばして、部屋の中で大の字になる。
    外に出掛けて、花を摘んだりする。
    湖で泳ぐこともあり、マフラーだけを巻いてスケートに興じたりもするけど、
    共通するのは、常に一人きりだということである。
    女の子はひとりで遊び、ひとりでたらふくごはんを食べ、酒をのみ、ぐうぐうと眠る。
    ときどき、オナ、ニーをしていることもある。
    「また裸だ。なんで裸ばっかり書くの?」
    「裸が好きだから」
    「そうかあ」
    そんな会話をしたのを覚えている。
    そんな、のりこちゃんが男遊びが激しくなったのは、いもこが把握している限りでは、17歳の頃だったと思う。
    いもこが思うに、
    その頃から、のりこちゃんは素の自分を表に出し始めた。
    ダイエットもしなくなったし、いっぷう変わった帽子をかぶり始めた。
    可愛いのりこちゃんには、言い寄ってくる男が、たくさんいた。
    それは、まるで石をどかしたら、隠れていた虫たちが沸いてくるように出現した。
    のりこちゃんは、きっと、石をどかしたのだ。
    かのじょを押さえつけていた漬物石みたいな重たいのを、美しい指で。
    そんなふうに遊んでばかりいたのりこちゃんは、男に恨まれ、ある日、硫酸をかけられた。
    顔が焼けるのをかばうため、手で制したのりこちゃんは、指を失った。
    利き手を失ったのりこちゃんは、二度と絵を描けなくなった。
    それから月日は流れ、
    現在、のりこちゃんと、いもこは、35歳。
    のりこちゃんは、今も可愛いし、結婚もしている。
    今も可愛くて、そして、指がない。
    のりこちゃんは、最近、旦那以外に、彼氏が出来たみたいである。
    指がなくなっても、
    相変わらず、のりこちゃんは、のりこちゃんのままである。
    のりこちゃんは、よく、のろける。
    「そんなにイイんだ?その男」
    「うん。
    こんなに好きになった男、はじめてだわ」
    「旦那にバレないように楽しまなきゃね」
    「うん、うちの旦那は嫉妬深いから、バレたら、やばい」
    そんな、ある日、いもこは、のりこちゃんの彼氏と、せ、っくすをした。
    お世辞にもイケメンとは言えない。
    だけど、せ、っくすが、とても、いいのだ。
    その男は、とてもよかった。
    端的に言えばセクシーだった。
    小太りのくせに指や手首の末端が細く綺麗で、からだを重ねると、ぶよぶよとした肉越しに感じる骨も、きっと綺麗だと思われる。
    衣服を身に付けているときよりも、脱いだ時のほうが、存在感がある。
    ゆっくりゆっくりした指の動きで、いもこのことを昇らせた。
    いもこは今まで、せ、っくすはしたことあるけど、イッたことはなかった。
    35歳で初めての絶頂を迎えた。
    初めて昇りきったときの感覚を、いもこは忘れられない。
    すごく、よかった。
    初めて酒を飲んだ時よりも、頭も体もほどけていった。
    門をくぐったようだった。
    なんの門かは、わからない。
    終わりというものを見たような気もした。
    なんの終わりかは、わからない。
    しかし、繰り返される質のものだと、すぐに分かった。
    何度でも終わる。
    そうか、のりこちゃんは、彼の指で、こんな快楽を感じていたんだ。
    こんな快楽、のりこちゃんだけが、ひとりじめするなんて、ずるい。
    彼が、いもこの上になって運動をしている間、いもこは、うっとりと彼の背中に手を回していた。
    指で彼の背骨を確かめてみた。
    ここにメスをいれたら、どうだろうか。
    いもこは、彼の体にメスをいれてみる想像をした。
    脳天から肛門まで、かっきり二等分に分ける。
    黄色いプリプリした脂肪が、ぬいぐるみの詰め物のように飛び出すだろう。
    そしたら彼は、みるみるうちに、しぼむのだろうか。
    いもこは、彼の形の皮を綺麗に洗い、お金持ちの家の居間にありそうな虎の敷き物みたいに、なめす。
    それを、かぶって、彼になりすまし、なにくわぬ家で帰ったり、彼になりすまし、出社したり、彼になりすまし、のりこちゃんとせ、っくすをする。
    そんな妄想をして、吹き出しそうになりながら、いもこはポーカーフェイスを装った。
    そのあと、彼とせ、っくすをしたことが、のりこちゃんにバレた。
    のりこちゃんは遊び人だけど、
    どうやら彼には本気で惚れていたらしく、激怒して、いもこと縁を切った。
    いもこは悲しくなって、のりこちゃんのことを尾行したり、待ち伏せしたりした。
    「なんなのよ、あんた気持ち悪いわね」
    と、ますます嫌われてしまった。
    「どんな神経してるの?」
    と怒られた。
    その台詞を、のりこちゃんにだけは言われたくない、と思った。
    旦那いるくせに。
    塩酸かけられても懲りないくせに。
    いもこだって恋ぐらいしたこと、ある。
    その人のことを考えると、いもこの呼吸はため息に変わった。
    いもこの初恋は十三歳だった。
    その人に出会うまでに十三年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ていた。
    のりこちゃんに嫌われ、のりこちゃんに会わなくなってから、いもこは久しぶりに幼なじみのヨシオと再会した。
    ヨシオは、のりこちゃんの元カレ。
    のりこちゃんに塩酸をかけた男である。
    「ひさしぶりー」
    いもことヨシオは昔話で盛り上がった。
    「おまえ、むかし、おれのこと好きだっただろ」
    ヨシオが唐突に聞いてきたので、いもこはヨシオのことを見つめ返す。
    「だから、のりこが浮気していることを俺におしえて、関係をこわそうとしたんだろ」
    誰がお前なんか、と思いながら、いもこはポーカーフェイスを装った。
    いもこが好きなのは、のりこちゃんである。
    関係を壊そうとしたのは事実である。
    だって、のりこちゃんを取られたくなかったからである。
    まさか、ヨシオが、のりこちゃんに硫酸をかけるって展開までは想定外だった。
    のりこちゃんの綺麗な指がなくなったことは、いもこも残念だった。
    好きで好きで、たまらなかった。
    よしおと解散したあとに、
    いもこは、のりこちゃんの彼氏と会って、再びせ、っくすをした。
    のりこちゃんの彼氏は、いまだに、のりこちゃんと付き合っているらしい。
    のりこちゃんの彼氏は、独身で、マイホームに住んでいる。
    いもことのせ、っくすが終わり、
    彼がいびきをかいて眠っている。
    彼からはアルコールと油ねんどの匂いがする。
    ねんどというより下水のにおいだ。
    ベッドにあがり、彼の下腹部に股がった。
    彼がいびきをかきながら、ときどき舌を鳴らしている。
    美味しいものを食べている夢でも見ているのかもしれない。
    クン、ニしている夢でも見ているのかもしれない。
    誰のことクン、ニしているの?
    のりこちゃんのこと?
    やめてよ。
    たとえ夢の中でも、もう、のりこちゃんに近寄らないで。
    いもこは、
    爆睡している彼のことをベッドに拘束した。
    そのあと、いもこは彼の体から、そっとおりて、台所に行き、キャノーラ油とオリーブオイルを手に取る。
    ガソリンと蝋燭は、もともと持参してきた。
    ガソリンは匂うから、目をさますかな、と少し心配したけど、彼に起きる気はなさそうだ。
    ブリキのバケツを手に持って、マッチで蝋燭に火をつけていく。
    彼の体を二重に取り囲んだ蝋燭の、内側、外側と交互に火をつけていった。
    半周したところで、彼が動き出した。
    熱くなったのだろう。
    あーもー、動くな豚野郎。
    彼は寝返りを打とうとして、
    拘束されているからそれも出来なくて、でも熱くて、無理に腕を動かそうとしている。
    うごくな、うごくな、ぶたやろう!
    いもこは急いで、マッチを擦って、次の蝋燭に火をつけようとした。
    彼が暴れるので、ベッドが軋んだ。
    嫌な軋みかただった。
    蝋燭が倒れた。
    油とガソリンを染み込ませたシーツに引火して、炎が上がった。
    シーツが燃え始めた。
    黒い縁取りの焼け焦げが、まるで三越の包装紙の模様みたいに広がっていく。
    いもこは焦り過ぎて、火のついたマッチをベッドに落として、そこからも火の手が上がった。
    大慌てでベッドの付近に避難した。
    そのあと、外に飛び出した。
    だけどスマホを中に忘れてしまった。
    のりこちゃんから連絡がくるかもしれない。
    仲直りしようって連絡がくるかもしれない。
    あんだけ嫌われたから、
    そんな期待はむなしいだけとわかっているけど、いもこはスマホをとりに戻った。
    まだ間に合うかもしれない。
    寝室のドアのノブに手をかけた。
    熱くていったん、手を離した。
    長袖のTシャツを引っ張って、手をくるんでドアを開けた。
    熱気が押し寄せてくる。
    煙で中の様子が見えない。
    いや、なかが見えないのは煙のせいではなくて、においのせいで目を開けていられないのだ。
    彼が焼けるにおいが充満している。
    いもこは勇者のように奥へ奥へと進んでいく。
    彼の死体を見てみたい気持ちもある。
    足の裏が熱いと思ったのは一瞬の出来事で、たちまち他のところも熱くなり、耐えられないほど熱くなり、どこが熱いのかわからなくなる。
    痛いのか、熱いのか、わからない感覚のなかで、いもこは倒れた。
    いもこの口から魂のようなものが出ていった。
    薄れゆく意識のなかで、
    いつだか、のりこちゃんが描いていた、おかっぱ頭で幼児体型の女の子の絵を思い出した。
    あなたの燃えた指は、どんな匂いだったんだろう。
    会いたい。会いたい。
    そのあと、いもこは、おかっぱ頭の女の子に生まれ変わり、ブランコを漕いでいる。
    まだ小さくて幼いいもこは、上手に自転車を漕ぐことが出来ない。
    ママは右手の指がないので、いもこの背中を左手で押してくる。
    ママに、ぎゅーっとされると、なぜか悲しくなる。
    ママのスカートに顔をこすりつけて泣くと、
    「あら、どうして泣いてるの」
    と聞かれた。
    「ううん、なんでもない」
    よくわからないけど、なんだか、むねがぎゅーっとなる。
    だいすき、と、ママに言った。
    「ママもよ」
    と答えてくれた。
    「わたしが、いちばん?」
    と聞くと
    「もちろん」
    と言う。
    いちばんすきだよ。
    その言葉が、
    うれしくて、うれしくて、なんども、顔をこすりつける。
    まだ小さい、いもこは、うまく言葉が表現できない。
    ままのことが、だいすきよりも、ずっと、だいすき。
    うまれるまえから、ずっと。
    わたしは、うれしくて、だから、かなしい。

  • せつなく ゆがむ おじかん です
    せつなく ゆがむ おじかん です

    こんな女になるとは思わなかった。
    そのあたりでマサコは手をうとうとした。
    よい落としどころだった。
    仕方ないというムードがある。
    自分のせいにも他人のせいにもならない。
    星回りとか趨勢とか諸般の事情はなしにして、ただ、こんな女に仕上がったと、そういうことにマサコはしたかった。
    そう考えて、胴回りをちょっと気にした。
    丸顔だし、と思いながら、頬をつまむ。
    頭頂部に手をやり、
    「鉢、ひらいてるし」
    と、ひとりごとをつぶやいてみたら、失笑が漏れた。
    お腹の底から、なにかが喉まで駆け上がってくる。
    さむざむしさとでもいいたいような、実体のないものだった。
    苦笑いにせよ、失笑にせよ、笑う対象は自分自身だ。
    いまごろ、みんなが笑っているだろう。
    マサコは細道を歩いていた。
    コーポの少し手前でタクシーをおりた。
    午前0時を回っている。
    今は忘年会の帰りである。
    十二月二十一日。
    マサコは、あれこれと考えて、自、殺したい気分になっている真っ最中である。
    忘年会のひとり反省会と言ってもいい。
    今日、もっとも痛かったのが、課長の軽いセクハラに乗ってしまったことである。
    酔っ払って悪のりしながら、チューしていい?と迫ってくる課長に、
    「また(股)にしてね」
    と、くだらないダジャレで切り返したシーンを思い起こせば、顔が熱くなる。
    適当にあしらう台詞なら、いくらでもあるはずなのに、よりによって、下ネタで返すとは、どういうことだろう。
    なのに言った途端に、自分で自分に吹き出してしまったのだ。
    うまい冗談を口にしたと思い込んだし、課長と当意即妙な、やりとりをしているつもりでいた。
    大人な対応が出来たとすら、思ってしまったのだ。
    なんていうか、
    そのときの自分は、まるで忘年会をエンジョイしているようで、それしか楽しみがないようで、
    糖尿の気がある絵に描いたようなおっさんの課長に「チューしていい?」と聞かれたら嬉しくってたまらなかったように思われたかもしれない。
    課長は、真っ赤に膨らんだ顔で、ニタニタしていたし、マサコだって、相当顔を赤くして、おばさんくさい声で、けたたましく笑ってしまった。
    そのときの途方に暮れたような周囲の冷ややかな雰囲気に、もちろんマサコは気付いていた。
    それでも、ばか笑いを止めることが出来なかった。
    止めるキッカケを失い、おばさんくさい笑い声を長く伸ばすことしか出来なかった。
    以前そんなとき、
    「マサコさんが壊れた」とか「マサコさんどうしちゃったんですか」とか、囃し立てられていたのに、誰も声をかけてくれなかった。
    いまにして思えば、囃し立てられているうちが華だったのだ。
    どうしちゃったんですかと半笑いで困惑されている時代を経て、気の毒そうに見守られるようになった。
    そんなことを思い出して、鬱々とした気分で、
    「早かったなあ」、と、唇を動かした。
    「さんじゅうはっさい」、と、まるでスイカの種を飛ばすように、口から吐き出してみた。
    えいえんの、おとめざ、なのに、さんじゅうはっさい、どくしん。
    死にたい。
    自分がそんな歳になるなんて思わなかった。
    真夜中の空を仰いだら、せつなくなった。
    ふるさとの両親に手紙を書きたい気分になった。
    こんな女になるとは思わなかった。
    ほんとうに、思っていなかった。
    内階段を三階までのぼっていった。
    鍵穴に鍵をさしこみ、ドアを開ける。
    よごれたコンバースが目に入った。
    小動物ならお産を出来そうなほど大きな靴のサイズは二十八センチ。
    廊下からホップ、ステップ、ジャンプで部屋に上がったような狭い玄関に脱ぎ散らかされている。
    よっこいしょと、かがみこみ、マサコはよごれたコンバースを揃えた。
    今日は早番だったんだね。
    と思いながら、首を伸ばして、部屋の中を覗いた。
    彼氏の太足が見える。
    素足である。
    膝下しか見えないけど、腹這いになっている模様だ。
    皮を、むしったあとのある踵を、ハロゲンヒーターで、あぶっている。
    んもうっ。
    可愛い足だわ。
    早く、におい嗅ぎたい!
    だいすき、破壊したい、食べちゃいたい。
    マサコは、ほんのすこし癒されて、かすかな笑みを頬に浮かべて、ロングブーツを引っこ抜くようにして脱いで、コートも脱いで、通販で購入したポールハンガーに掛けた。
    部屋に入り彼を見下ろす。
    カーペットに長まっている彼は、しみじみと巨大である。
    彼は、なんとなく雰囲気が、熊のぬいぐるみっぽい。
    縦はともかく、厚みもある。
    決して肥満体ではない。
    いわゆる、がたいがいいという、からだつきをしている。
    たまにジョギングすることがある。
    ねずみ色のパーカーのフードを目深にかぶり、出かける前からロッキーになりきるような、そんな男である。
    「おかえり、マサコちゃん」
    上半身をねじって、彼氏がそう言った。
    ちょっと顎をひいて、マサコの全身を眺め、「今日のマサコちゃん素敵だね」と続けてくれた。
    「どこが?」
    「いや、その、全体的に?」
    ふん。マサコは鼻を鳴らした。
    彼氏にファッションのなんたるかなど分かるわけがない。
    そりゃ私だって流行に通じているわけじゃあないけど。
    カーテンを引くふりをして、自分の姿を窓ガラスで確認した。
    「やっぱり若作りしすぎだよね」
    フリルなんてさ。
    振り向いて、手をブラブラさせる。
    彼氏にカフスを見せつけるようにした。
    「スカートの下にズボンはいたりとか」
    パンツの生地をつまんで見せた。
    「それも、こーんな、ももひきみたいに細いやつだ。
    痛いったら、ないよ」
    そう言いながら肩をすくめる。
    心のどこかで、そんな自分の仕草を可愛いと思っているし、可愛いと言ってほしい。
    彼氏にだけは。
    「どうして?すてきじゃん」
    彼氏は太い首をひねり、すてきだと思うけどなあと言いながらも、さして興味無さそうに元の位置に戻ってしまった。
    おい。
    もっと、こっちを見ろ。
    「それに、このネックレスだよ?」
    マサコは彼氏の頭のそばに膝をついて、ペンダントトップを押し付けるようにして見せた。
    金色で縁取られた楕円形。
    お気に入りのエメラルド。
    みどり色で、つるりとしているから、まりもようかんみたいな見た目である。
    「マサコちゃんの大事にしているやつだね」
    おもてを上げた彼氏の豆粒みたいな目と、いきあうと、うん、としか言いようがないような気がする。
    彼氏はアゴヒゲを、しっかりと、たくわえているけど、
    ワイルドには見えなくて、ときどき、赤子のように見える。
    それは少年のような、という意味ではない。
    むしろ、じいさんに近い。
    一遍、歳をとってから童に戻ったような感じと説明したら、わかりやすいだろうか。
    マサコより二歳年上だから、四十才である。
    じいさんと表現するには、まだ早い。
    それに童に戻ったじいさんなら、言葉の端々に人生の道のりめいたものを匂わせるんだろうけど、彼氏にはそれがない。
    襞も折り返しもない笑顔を四角い顔いっぱいに広げて機嫌よくしている。
    彼氏の硬い癖毛を触りながら、マサコは、細道を歩いて帰って来たことを話した。
    メーターが上がる前にタクシーをおりた話をした。
    「だめだよ、マサコちゃん。
    夜道のひとり歩きは危険だよ」
    そう怒られて、
    うれしくてうれしくて、
    「だーいじょうぶだって」
    と豪快に笑って見せた。
    「とられて、困るものなんてないし」
    と言いながら、彼氏のことを、ちらりと見る。
    でも、と言われるのを期待している。
    もっと心配してほしい。
    もっと女として扱ってほしい。
    たかだか忘年会にでもつけていきたいエメラルドのネックレスのように、マサコにも価値があると思いたい。
    でも、大事だから、大事に思っているから、みたいな、なんか、そういう、言うより言われたほうが気恥ずかしくてならないような甘い文句を彼氏の口から聞き出して、
    なーにいってんの!と、しかめっ面をしてみたい。
    だけど彼氏は、今度から気をつけてねで会話を終了させてしまった。
    そんな彼氏のことが可愛くて、
    あまりにも可愛くて、
    殺、そうかなと思った。
    心中しようかなと思った。
    もう、なんで、そんなに、ぬいぐるみみたいなの。
    かわいい。にくい。む、かつく。だいすき。破壊したい。
    彼氏の、モジャモジャ頭を、マサコは軽くはたいた。
    なんだよう、という彼氏に、酒くさい唇でキスした。
    下着だけを脱いで、彼の顔に、またがった。
    ぬるぬるとした彼の舌が、マサコの一番感じる場所を包み込んだ。
    そのときの、せ、っくすで、マサコは妊、娠をした。
    彼氏は逃げ腰になった。
    だから、殺、した。
    「今回は諦めよう」
    と彼は言った。
    今回は諦めよう?
    え、わたし、さんじゅうはっさいなんですけど?
    いま生まなくて、いつ生ませてくれるの?
    ねえ。
    いつ結婚してくれんの?
    ねえ。
    あんたの子供、三回も、○ろしたんですけど。
    それなのに、
    またにしてね、ってか?
    またにしてねってか。
    そうか。
    そうなのか。
    彼氏を包丁で殺、したあと、マサコは狭い手洗い場にいる。
    あいしてる。
    声に出さずに、ひとりごちた。
    こんな女になるとは思わなかった。

  • せつなく ゆがむ おじかん です
    せつなく ゆがむ おじかん です

    こんな女になるとは思わなかった。
    そのあたりでマサコは手をうとうとした。
    よい落としどころだった。
    仕方ないというムードがある。
    自分のせいにも他人のせいにもならない。
    星回りとか趨勢とか諸般の事情はなしにして、ただ、こんな女に仕上がったと、そういうことにマサコはしたかった。
    そう考えて、胴回りをちょっと気にした。
    シニックをやるには肉が付きすぎている。
    丸顔だし、と思いながら、頬をつまむ。
    頭頂部に手をやり、
    「鉢、ひらいてるし」
    と、ひとりごとをつぶやいてみたら、失笑が漏れた。
    お腹の底から、なにかが喉まで駆け上がってくる。
    さむざむしさとでもいいたいような、実体のないものだった。
    そもそもシニックの柄じゃないと独白する。
    こんなもっさりしたシニックがいるってか。
    苦笑いにせよ、失笑にせよ、笑う対象は自分自身だ。
    いまごろ、みんなが笑っているだろう。
    マサコは細道を歩いていた。
    コーポの少し手前でタクシーをおりた。
    午前0時を回っている。
    今は忘年会の帰りである。
    十二月二十一日。
    マサコは、あれこれと考えて、自、殺したい気分になっている真っ最中である。
    忘年会のひとり反省会と言ってもいい。
    今日、もっとも痛かったのが、課長の軽いセクハラに乗ってしまったことである。
    酔っ払って悪のりしながら、チューしていい?と迫ってくる課長に、
    「また(股)にしてね」
    と、くだらないダジャレで切り返したシーンを思い起こせば、顔が熱くなる。
    適当にあしらう台詞なら、いくらでもあるはずなのに、よりによって、下ネタで返すとは、どういうことだろう。
    なのに言った途端に、自分で自分に吹き出してしまったのだ。
    うまい冗談を口にしたと思い込んだし、課長と当意即妙な、やりとりをしているつもりでいた。
    大人な対応が出来たとすら、思ってしまったのだ。
    なんていうか、
    そのときの自分は、まるで忘年会をエンジョイしているようで、それしか楽しみがないようで、
    糖尿の気がある絵に描いたようなおっさんの課長に「チューしていい?」と聞かれたら嬉しくってたまらなかったように思われたかもしれない。
    課長は、真っ赤に膨らんだ顔で、ニタニタしていたし、マサコだって、相当顔を赤くして、おばさんくさい声で、けたたましく笑ってしまった。
    そのときの途方に暮れたような周囲の冷ややかな雰囲気に、もちろんマサコは気付いていた。
    それでも、ばか笑いを止めることが出来なかった。
    止めるキッカケを失い、おばさんくさい笑い声を長く伸ばすことしか出来なかった。
    以前そんなとき、
    「マサコさんが壊れた」とか「マサコさんどうしちゃったんですか」とか、囃し立てられていたのに、誰も声をかけてくれなかった。
    いまにして思えば、囃し立てられているうちが華だったのだ。
    どうしちゃったんですかと半笑いで困惑されている時代を経て、気の毒そうに見守られるようになった。
    そんなことを思い出して、鬱々とした気分で、
    「早かったなあ」、と、唇を動かした。
    「さんじゅうはっさい」、と、まるでスイカの種を飛ばすように、口から吐き出してみた。
    えいえんの、おとめざ、なのに、さんじゅうはっさい、どくしん。
    死にたい。
    自分がそんな歳になるなんて思わなかった。
    真夜中の空を仰いだら、せつなくなった。
    ふるさとの両親に手紙を書きたい気分になった。
    こんな女になるとは思わなかった。
    ほんとうに、思っていなかった。
    内階段を三階までのぼっていった。
    鍵穴に鍵をさしこみ、ドアを開ける。
    よごれたコンバースが目に入った。
    小動物ならお産を出来そうなほど大きな靴のサイズは二十八センチ。
    廊下からホップ、ステップ、ジャンプで部屋に上がったような狭い玄関に脱ぎ散らかされている。
    よっこいしょと、かがみこみ、マサコはよごれたコンバースを揃えた。
    今日は早番だったんだね。
    と思いながら、首を伸ばして、部屋の中を覗いた。
    彼氏の太足が見える。
    素足である。
    膝下しか見えないけど、腹這いになっている模様だ。
    皮を、むしったあとのある踵を、ハロゲンヒーターで、あぶっている。
    んもうっ。
    可愛い足だわ。
    早く、におい嗅ぎたい!
    だいすき、破壊したい、食べちゃいたい。
    マサコは、ほんのすこし癒されて、かすかな笑みを頬に浮かべて、ロングブーツを引っこ抜くようにして脱いで、コートも脱いで、通販で購入したポールハンガーに掛けた。
    部屋に入りら彼を見下ろす。
    カーペットに長まっている彼は、しみじみと巨大である。
    彼は、なんとなく、雰囲気が、熊のぬいぐるみっぽい。
    縦はともかく、厚みもある。
    決して肥満体ではない。
    いわゆる、がたいがいいという、からだつきをしている。
    たまにジョギングすることがある。
    ねずみ色のパーカーのフードを目深にかぶり、出かける前からロッキーになりきるような、そんな男である。
    「おかえり、マサコちゃん」
    上半身をねじって、彼氏がそう言った。
    ちょっと顎をひいて、マサコの全身を眺め、「今日のマサコちゃん素敵だね」と続けてくれた。
    「どこが?」
    「いや、その、全体的に?」
    ふん。マサコは鼻を鳴らした。
    彼氏にファッションのなんたるかなど分かるわけがない。
    そりゃ私だって流行に通じているわけじゃあないけど。
    カーテンを引くふりをして、自分の姿を窓ガラスで確認した。
    「やっぱり若作りしすぎだよね」
    フリルなんてさ。
    振り向いて、手をブラブラさせる。
    彼氏にカフスを見せつけるようにした。
    「スカートの下にズボンはいたりとか」
    パンツの生地をつまんで見せた。
    「それも、こーんな、ももひきみたいに細いやつだ。
    痛いったら、ないよ」
    そう言いながら肩をすくめる。
    心のどこかで、そんな自分の仕草を可愛いと思っているし、可愛いと言ってほしい。
    彼氏にだけは。
    「どうして?すてきじゃん」
    彼氏は太い首をひねり、すてきだと思うけどなあと言いながらも、さして興味無さそうに元の位置に戻ってしまった。
    おい。
    もっと、こっちを見ろ。
    「それに、このネックレスだよ?」
    マサコは彼氏の頭のそばに膝をついて、ペンダントトップを押し付けるようにして見せた。
    金色で縁取られた楕円形。
    お気に入りのエメラルド。
    みどり色で、つるりとしているから、まりもようかんみたいな見た目である。
    「マサコちゃんの大事にしているやつだね」
    おもてを上げた彼氏の豆粒みたいな目と、いきあうと、うん、としか言いようがないような気がする。
    彼氏はアゴヒゲを、しっかりと、たくわえているけど、
    ワイルドには見えなくて、ときどき、赤子のように見える。
    それは少年のような、という意味ではない。
    むしろ、じいさんに近い。
    一遍、歳をとってから童に戻ったような感じと説明したら、わかりやすいだろうか。
    マサコより二歳年上だから、四十才である。
    じいさんと表現するには、まだ早い。
    それに童に戻ったじいさんなら、言葉の端々に人生の道のりめいたものを匂わせるんだろうけど、彼氏にはそれがない。
    襞も折り返しもない笑顔を四角い顔いっぱいに広げて機嫌よくしている。
    彼氏の硬い癖毛を触りながら、マサコは、細道を歩いて帰って来たことを話した。
    メーターが上がる前にタクシーをおりた話をした。
    「だめだよ、マサコちゃん。
    夜道のひとり歩きは危険だよ」
    そう怒られて、
    うれしくてうれしくて、
    「だーいじょうぶだって」
    と豪快に笑って見せた。
    「とられて、困るものなんてないし」
    と言いながら、彼氏のことを、ちらりと見る。
    でも、と言われるのを期待している。
    もっと心配してほしい。
    もっと女として扱ってほしい。
    たかだか忘年会にでもつけていきたいエメラルドのネックレスのように、マサコにも価値があると思いたい。
    でも、大事だから、大事に思っているから、みたいな、なんか、そういう、言うより言われたほうが気恥ずかしくてならないような甘い文句を彼氏の口から聞き出して、
    なーにいってんの!と、しかめっ面をしてみたい。
    だけど彼氏は、今度から気をつけてねで会話を終了させてしまった。
    そんな彼氏のことが可愛くて、
    あまりにも可愛くて、
    殺、そうかなと思った。
    心中しようかなと思った。
    もう、なんで、そんなに、ぬいぐるみみたいなの。
    かわいい。にくい。む、かつく。だいすき。破壊したい。
    彼氏の、モジャモジャ頭を、マサコは軽くはたいた。
    なんだよう、という彼氏に、酒くさい唇でキスした。
    下着だけを脱いで、彼の顔に、またがった。
    ぬるぬるとした彼の舌が、マサコの一番感じる場所を包み込んだ。
    そのときの、せ、っくすで、マサコは妊、娠をした。
    彼氏は逃げ腰になった。
    だから、殺、した。
    「今回は諦めよう」
    と彼は言った。
    今回は諦めよう?
    え、わたし、さんじゅうはっさいなんですけど?
    いま生まなくて、いつ生ませてくれるの?
    ねえ。
    いつ結婚してくれんの?
    ねえ。
    あんたの子供、三回も、○ろしたんですけど。
    それなのに、
    またにしてね、ってか?
    またにしてねってか。
    そうか。
    そうなのか。
    彼氏を包丁で殺、したあと、マサコは狭い手洗い場にいる。
    あいしてる。
    声に出さずに、ひとりごちた。
    こんな女になるとは思わなかった。

  • せつなく ゆがむ おじかん です
    せつなく ゆがむ おじかん です

    こんな女になるとは思わなかった。
    そのあたりでマサコは手をうとうとした。
    よい落としどころだった。
    仕方ないというムードがある。
    自分のせいにも他人のせいにもならない。
    星回りとか趨勢とか諸般の事情はなしにして、ただ、こんな女に仕上がったと、そういうことにマサコはしたかった。
    そう考えて、胴回りをちょっと気にした。
    シニックをやるには肉が付きすぎている。
    丸顔だし、と思いながら、頬をつまむ。
    頭頂部肉が手をやり、
    「鉢、ひらいてるし」
    と、ひとりごとをつぶやいてみたら、失笑が漏れた。
    お腹の底から、なにかが喉まで駆け上がってくる。
    さむざむしさとでもいいたいような、実体のないものだった。
    そもそもシニックの柄じゃないと独白する。
    こんなもっさりしたシニックがいるってか。
    苦笑いにせよ、失笑にせよ、笑う対象は自分自身だ。
    いまごろ、みんなが笑っているだろう。
    マサコは細道を歩いていた。
    コーポの少し手前でタクシーをおりた。
    午前0時を回っている。
    今は忘年会の帰りである。
    十二月二十一日。
    マサコは、あれこれと考えて、自、殺したい気分になっている真っ最中である。
    忘年会のひとり反省会と言ってもいい。
    今日、もっとも痛かったのが、課長の軽いセクハラに乗ってしまったことである。
    酔っ払って悪のりしながら、チューしていい?と迫ってくる課長に、
    「また(股)にしてね」
    と、くだらないダジャレで切り返したシーンを思い起こせば、顔が熱くなる。
    適当にあしらう台詞なら、いくらでもあるはずなのに、よりによって、下ネタで返すとは、どういうことだろう。
    なのに言った途端に、自分で自分に吹き出してしまったのだ。
    うまい冗談を口にしたと思い込んだし、課長と当意即妙野やりとりをしているつもりでいた。
    大人な対応が出来たとすら、思ってしまったのだ。
    なんていうか、
    そのときの自分は、まるで忘年会をエンジョイしているようで、それしか楽しみがないようで、
    糖尿の気がある絵に描いたようなおっさんの課長に「チューしていい?」と聞かれたら嬉しくってたまらなかったように思われたかもしれない。
    課長は、真っ赤に膨らんだ顔で、ニタニタしていたし、マサコだって、相当顔を赤くして、おばさんくさい声で、けたたましく笑ってしまった。
    そのときの途方に暮れたような周囲の冷ややかな雰囲気に、もちろんマサコは気付いていた。
    それでも、ばか笑いを止めることが出来なかった。
    止めるキッカケを失い、おばさんくさい笑い声を長く伸ばすことしか出来なかった。
    以前そんなとき、
    「マサコさんが壊れた」とか「マサコさんどうしちゃったんですか」とか、囃し立てられていたのに、誰も声をかけてくれなかった。
    いまにして思えば、囃し立てられているうちが華だったのだ。
    どうしちゃったんですかと半笑いで困惑されている時代を経て、気の毒そうに見守られるようになった。
    そんなことを思い出して、鬱々とした気分で、
    「早かったなあ」、と、唇を動かした。
    「さんじゅうはっさい」、と、まるでスイカの種を飛ばすように、口から吐き出してみた。
    えいえんの、おとめざ、なのに、さんじゅうはっさい、どくしん。
    死にたい。
    自分がそんな歳になるなんて思わなかった。
    真夜中の空を仰いだら、せつなくなった。
    ふるさとの両親に手紙を書きたい気分になった。
    こんな女になるとは思わなかった。
    ほんとうに、思っていなかった。
    内階段を三階までのぼっていった。
    鍵穴に鍵をさしこみ、ドアを開ける。
    よごれたコンバースが目に入った。
    小動物ならお産を出来そうなほど大きな靴のサイズは二十八センチ。
    廊下からホップ、ステップ、ジャンプで部屋に上がったような狭い玄関に脱ぎ散らかされている。
    よっこいしょと、かがみこみ、マサコはよごれたコンバースを揃えた。
    あっ、今日は早番だったのかと思いながら、首を伸ばして、部屋の中を覗いた。
    彼氏の太足が見える。
    素足である。
    膝下しか見えないけど、腹這いになっている模様だ。
    皮を、むしったあとのある踵を、ハロゲンヒーターで、あぶっている。
    んもうっ。
    可愛い足だわ。
    早く、におい嗅ぎたい!
    だいすき、破壊したい、食べちゃいたい。
    マサコは、ほんのすこし癒されて、かすかな笑みを頬に浮かべて、ロングブーツを引っこ抜くようにして脱いで、コートも脱いで、通販で購入したポールハンガーに掛けた。
    部屋に入りら彼を見下ろす。
    カーペットに長まっている彼は、しみじみと巨大である。
    彼は、なんとなく、雰囲気が、熊のぬいぐるみっぽい。
    縦はともかく、厚みもある。
    決して肥満体ではない。
    いわゆる、がたいがいいという、からだつきをしている。
    たまにジョギングすることがある。
    ねずみ色のパーカーのフードを目深にかぶり、出かける前からロッキーになりきるような、そんな男である。
    「おかえり、マサコちゃん」
    上半身をねじって、彼氏がそう言った。
    ちょっと顎をひいて、マサコの全身を眺め、「今日のマサコちゃん素敵だね」と続けてくれた。
    「どこが?」
    「いや、その、全体的に?」
    ふん。マサコは鼻を鳴らした。
    彼氏にファッションのなんたるかなど分かるわけがない。
    そりゃ私だって流行に通じているわけじゃあないけど。
    カーテンを引くふりをして、自分の姿を窓ガラスで確認した。
    「やっぱり若作りしすぎだよね」
    フリルなんてさ。
    振り向いて、手をブラブラさせる。
    彼氏にカフスを見せつけるようにした。
    「スカートの下にズボンはいたりとか」
    パンツの生地をつまんで見せた。
    「それも、こーんな、ももひきみたいに細いやつだ。
    痛いったら、ないよ」
    そう言いながら肩をすくめる。
    心のどこかで、そんな自分の仕草を可愛いと思っているし、可愛いと言ってほしい。
    彼氏にだけは。
    「どうして?すてきじゃん」
    彼氏は太い首をひねり、すてきだと思うけどなあと言いながらも、さして興味無さそうに元の位置に戻ってしまった。
    おい。
    もっと、こっちを見ろ。
    「それに、このネックレスだよ?」
    マサコは彼氏の頭のそばに膝をついて、ペンダントトップを押し付けるようにして見せた。
    金色で縁取られた楕円形。
    お気に入りのエメラルド。
    みどり色で、つるりとしているから、まりもようかんみたいな見た目である。
    「マサコちゃんの大事にしているやつだね」
    おもてを上げた彼氏の豆粒みたいな目と、いきあうと、うん、としか言いようがないような気がする。
    彼氏はアゴヒゲを、しっかりと、たくわえているけど、
    ワイルドには見えなくて、ときどき、赤子のように見える。
    それは少年のような、という意味ではない。
    むしろ、じいさんに近い。
    一遍、歳をとってから童に戻ったような感じと説明したら、わかりやすいだろうか。
    マサコより二歳年上だから、四十才である。
    じいさんと表現するには、まだ早い。
    それに童に戻ったじいさんなら、言葉の端々に人生の道のりめいたものを匂わせるんだろうけど、彼氏にはそれがない。
    襞も折り返しもない笑顔を四角い顔いっぱいに広げて機嫌よくしている。
    彼氏の硬い癖毛を触りながら、マサコは、細道を歩いて帰って来たことを話した。
    メーターが上がる前にタクシーをおりた話をした。
    「だめだよ、マサコちゃん。
    夜道のひとり歩きは危険だよ」
    そう怒られて、
    うれしくてうれしくて、
    「だーいじょうぶだって」
    と豪快に笑って見せた。
    「とられて、困るものなんてないし」
    と言いながら、彼氏のことを、ちらりと見る。
    でも、と言われるのを期待している。
    もっと心配してほしい。
    もっと女として扱ってほしい。
    たかだか忘年会にでもつけていきたいエメラルドのネックレスのように、マサコにも価値があると思いたい。
    でも、大事だから、大事に思っているから、みたいな、なんか、そういう、言うより言われたほうが気恥ずかしくてならないような甘い文句を彼氏の口から聞き出して、
    なーにいってんの!と、しかめっ面をしてみたい。
    だけど彼氏は、今度から気をつけてねで会話を終了させてしまった。
    そんな彼氏のことが可愛くて、
    あまりにも可愛くて、
    殺、そうかなと思った。
    心中しようかなと思った。
    もう、なんで、そんなに、ぬいぐるみみたいなの。
    かわいい。にくい。む、かつく。だいすき。破壊したい。
    彼氏の、モジャモジャ頭を、マサコは軽くはたいた。
    なんだよう、という彼氏に、酒くさい唇でキスした。
    下着だけを脱いで、彼の顔に、またがった。
    ぬるぬるとした彼の舌が、マサコの一番感じる場所を包み込んだ。
    そのときの、せ、っくすで、マサコは妊、娠をした。
    彼氏は逃げ腰になった。
    だから、殺、した。
    「今回は諦めよう」
    と彼は言った。
    今回は諦めよう?
    え、わたし、さんじゅうはっさいなんですけど?
    いま生まなくて、いつ生ませてくれるの?
    ねえ。
    いつ結婚してくれんの?
    ねえ。
    あんたの子供、三回も、○ろしたんですけど。
    それなのに、
    またにしてね、ってか?
    またにしてねってか。
    そうか。
    そうなのか。
    彼氏を包丁で殺、したあと、マサコは狭い手洗い場にいる。
    あいしてる。
    声に出さずに、ひとりごちた。
    こんな女になるとは思わなかった。

  • じいちゃん
    じいちゃん

    ちっちゃいころ、
    いちばん上の姉ちゃんと、取っ組み合いながら、
    「ぶす!
    こ、ろすぞ!」
    って言いながら、髪の毛を引っ張りあったり、時にはハサミで脅迫したり、脅迫されたり、包丁も出てきたり(笑)
    クレイジーな姉妹だったんですけど
    (姉妹のケンカほどネチネチと醜いものはないですよね笑)
    そんなとき、じいちゃんに、
    「これ、また、そんな汚い言葉使ってー。
    ンフフって、おとなしくしていたほうが、最終的には勝てるんだぞ」
    と怒られましたけど、
    じいちゃんのいいところは、
    「おんなのこでしょー」
    とか、そういうことは、絶対に言わなかったんですよね。
    そんな、素晴らしい台詞を言っていたくせに、じいちゃんは、孫には優しくても、
    ばあちゃんの前では、モラハラだったという噂(・・;)(笑)
    じいちゃん、ばあちゃんは、孫には優しいし、甘やかすんですよね、ほんと
    にばんめの姉ちゃんは賢いというか腹黒いので、そこまで激しいケンカはしたことないけど
    (でも、めちゃくちゃ性格悪いよ。
    顔は、すごく可愛いけど)
    いちばん上の姉ちゃんとは、昼ドラのように、激しく、あいしあったね~
    おとのさまの兄弟げんかエピソードも聞かせてくださいね。

  • おこたえしましょう
    おこたえしましょう

    ありこが勝手に答えていくシリーズ
    (だいたい日記のネタが切れたときに、このシリーズになる笑)
    「毎日、連絡を取り合っていて、五回くらい遊んだ男性と、連絡が取れなくなって一ヶ月がたちました。
    私は、かなり彼のことを好きだったんですけど、もう連絡こないのでしょうか」
    五回くらい遊んだって、何して遊んだんだろう?!
    ごはん行っただけ?
    もしも一度きりでも肉体関係があった男性なら、
    特に何か衝突するようなことがあったわけじゃなければ、
    100%ぐらいの確率で、また連絡してくると思いますけどね。
    肉体関係がなかったなら、こない気がします。
    (肉体関係があっても、たとえば、そこに金銭が発生していたら連絡こない可能性もありますけど、
    たとえ金銭が発生していても、もしかしたらタダマンできるかもムフフみたいに口説いてきたり、連絡してくる人って多いと思いますから、金銭が発生していなければ100%連絡してきますよ)
    どっちにしろ五回デートして、付き合えないなら、彼の中では、ナシなんじゃないですか。
    肉体関係まではなくても、
    チューとかしていたら、いつか連絡くるかもね。
    結論【こないと思う】
    「私の彼氏は、生でしたがります。
    妊、娠したらどうするの?
    と聞いたら、結婚するよ、と言います。
    付き合って三年なので信用してもいいでしょうか」
    付き合って三年でも、五年でも、十年でも、興奮しているときの男性の言葉は信用しないでください。
    彼が喋っているのではなくて、
    彼の、ち、んぽが喋っているんです。
    結論【だめです】
    「僕の彼女は怒ると、口が悪くなります。
    そのたびに僕は傷つき、それでも彼女のことが好きだから許してしまいます。
    逆ギレばかりします。
    どうしたらいいでしょうか」
    どうしようもなりません。
    彼女が自分の力で治すしかありません。
    愛があれば暴言ははかないし、はいたとしても、反省すると思います。
    結論【下に見られているんですよ】
    「僕は元カノに暴力をふるってしまいました。
    謝りたいです」
    人が何かしらの行動をするときは、
    たとえ「謝りたいだけ」と言ったとしても、本当にそう思っていたとしても、心の奥底で、意識的でも、無意識でも、その先を求めているし、何かを期待しています。
    それは、ただの自己満足で、反省ではないと思います。
    彼女が思い通りの反応をしなければ、どうせ、また殴るんじゃないですか。
    結論【心から反省しているなら、関わらないであげましょう】
    「私は、人に依存されやすいです。
    なぜでしょうか」
    心のどこかで、依存されたいと思っているんじゃないですか。
    人は鏡ですから、きっと、あなたが、依存する側に回るパターンもあるはず。
    当たり前のことですけど、
    依存する人間だって、相手を選んでいます。
    まったく構ってくれないと思っていたら近付いてきませんから、
    それが怒りでも、なんでも、
    なんだかんだ反応したり、構っているんじゃないですか。
    結論【依存しやすい人間に無意識に近付いてしまうし、無反応でいることが出来ない】
    「俺の女房はメシマズです。
    それ以外は完璧なのですが……。
    本当にひどいレベルのメシマズなのです。
    俺が特別に口うるさいとか神経質とかではありません(実際に今まで嫁の料理に一度も文句を言ったことはないし、僕が作ることも多いです)。
    それなのに変なプライドがあるらしく、
    私が作る!と言って聞きません」
    毎日の食事、まずいと、つらいですね。
    私が作る!僕が作る!じゃなくて、
    一緒に作ろう!で、いいんじゃないですか。
    それか、もう怒らせるの覚悟で、やんわり伝えて、料理教室に通わせるとか?
    結論【どんなに綺麗事を言ってみても、
    あまりにも、ひどいレベルのものは、誰だって食べれないので、仕方ない】
    「旦那の脇が臭くて臭くてたまりません。
    ワキガです。
    本人は気付いていません。
    きずつけないように、どう伝えたらいいでしょうか」
    どう伝えても、傷つきます(笑)
    わたし、ワキガのにおい、わりと好きですけどね。
    あぶら粘土みたいなにおいしますよね。
    (あ、すきな男限定でね。
    すきな男なら歯槽膿漏でも許せるもん)
    結論【どんな伝えかたしても、臭いと言っていることには変わりありませんから、ワキガの手術をすすめましょう】

  • こんな話も、ありますよ。
    こんな話も、ありますよ。

    たとえば、
    月に一度だけ、五時間一緒に過ごす相手
    or
    30分とかでも、頻繁に顔を合わせる人
    これなら、
    後者のほうが、人間は、好意を抱くみたいですよ
    これが遠距離恋愛が続かない理由なのではないですか

  • そうですか。
    そうですか。

    「女は、こまめに連絡とりたがり、男は、用件だけ連絡したい」
    だなんて話を見つけたけど、
    そうですか。
    逆じゃないですか。
    おはよう、仕事なう、○んこなう、ごはんなう、帰宅なう、おやすみなさい
    って、意味もないライン送ってくるのって、男じゃないですか(笑)
    女も不安になると、そういった行動をとると思いますけど、
    行動を把握していたいのは男性なんじゃないですか。
    ですから、
    「女は男との時間を縛りたがり、男は女の行動を縛りたがる」
    って言葉を聞いたときには、納得しましたよ。
    会いたくて震える西野カナさんが存在するように、
    本当は女性は、そこまで男性の連絡は重視していないと思います。
    会いたいんですから、会っているときが楽しいのが一番なんですから、用件だけでいいと思ってしまうのは、
    本来は女のほうだと思います。
    ですから、
    女性は会えば会うほど感情が入りますけど
    (最初こそは、会えなくて、ヒス起こしたとしても、物理的な距離が出来れば、冷静に物事を見れるようになり、気持ちも、そのうち離れると思います)
    男性は、会えない時間が愛育てるのさ、だなんて歌っていますからね。
    会えないときに、
    しょーもないライン送ってきて、
    やりとりしていたい、
    把握しておきたい、
    かまってほしいのは、
    どちらかというと男性のほうじゃないですか。
    女性は、会っている時間に、全力でかまってもらいたい生き物なんじゃないでしょうか。
    わたしは、そう思っている

  • あるあるあるあるある
    あるあるあるあるある

    「二年付き合っている彼氏がいました。
    二年間なかよくやってきました。
    それが些細なことでブロックされてしまいました。
    きっかけが、私が彼氏のことを映画に誘ったら、その映画面白くなさそう(笑)と返信がきたから、じゃあいいわ!って言ったら、なんか、ごめんって返事がきて、
    たまたま、用事があって、そのごめんにたいして、1日くらい返事が出来なかったんです。
    そしたらブロックされていました。
    こんなことくらいで終わるのでしょうか。
    ごめんって言ったくせに、なぜブロックされたのでしょうか」
    結論【人間関係というのは、それが彼氏であれ、友人であれ、ある日、とつぜん、えー、こんなことくらいで?っていうようなことで、いきなり終わります。
    永遠はありません】
    でも、彼氏が情緒不安定だと思うので、また時間が解決するんじゃないですか。
    世の中、些細な衝撃に耐えれない人間は多いです。
    (プライド高いのに自尊心低いのです)
    ブロックされたら、えーなんでと驚くじゃないですか。
    それと同じで彼氏も、
    いつも、わりとすぐ返事がくる彼女から1日返信がこないことが、衝撃だったんだと思います。
    そして、まっている自分が嫌、不安になっている自分が嫌で、ブロックしたんじゃないでしょうか。
    もちろん彼氏のプライドが高いんだと思います。
    だけど、
    彼女は怒っているし、もうダメかもしれない、もうやだ、まってられない、こんな気持ち嫌だ
    とパニックになってブロックしたと思います。
    それは「不安定な感情」からしてしまったことだと思います。
    そのパターンなら、嫌いになってブロックしたわけではいと思うので、
    二年も付き合っていたなら、
    彼女が何かしら、SNSとかから接触をすれば元に戻れるかもしれないです。
    いや、しかし、そういう話って、
    付き合う前だとか、
    付き合いたてなら、まだ理解出来るというか、あるあるだと思います。
    二年付き合って、そうなるなんて、
    信頼関係が出来ていないor彼氏も冷めてきている
    のかもしれませんね。
    だけど、前日まで仲良くても、
    ある日、とつぜん、なんらかの衝撃で、パタリと関係が終わることは不思議なことではないので、
    ブロックされる衝撃にも耐えれるようになったほうがいいですよ。
    わたしも、あります。
    前日まで仲良かったのに、些細な失言でブロックされたことがあります(笑)
    それは私にとっても衝撃だったけど、
    相手にとっても衝撃だったんだと思います。
    人それぞれ、耐えれるもの、耐えれないものは違います。
    (年齢と共に変わっていく場合もありますけど)
    人それぞれ、怒りのツボも、違います。
    なんでなのか、わからないものには、怒りを覚えると思いますけど、
    なんでそんなことしたのか考えたら、そこまで衝撃は受けないと思うし、
    そこまで焦らなくてもいいと思います。
    繋がる縁は繋がるし、
    切れる縁は、何をしても、切れます。
    ご参考までに

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