あ~イク恋愛生欲情の扉

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2024年 5月 の写メ日記一覧
宝乃ありな

宝乃ありな(26歳)

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ゆがむ おじかん です

ゆがむ おじかん です

目が覚めると、そこは部屋だった。
当たり前のことである。
エリコはまぶたをこすり、枕元をまさぐる。
四角くて、やや冷たい手ごたえの携帯電話を見つけた。
もう朝か。
学校行くのめんどくさいなと思いながら、 エリコは寝転び、目を閉じたまま、手探りでセーラー服を探した。
いつも寝る前に、翌日着るものを布団の横に置いているのだ。
右手でセーラー服を探し、同時に左手でパジャマを脱ぐ。
暖かい布団の中で着替えをするのが毎朝の習慣だった。
おかしいな。パジャマのボタンがない。
手を動かしているうちに、やっと気付いた。
え?わたし全裸?なんで?
寝ぼけて脱いでしまったのだろうか。
だとしたら、すさまじい寝ぼけかたである。
あとで彼氏に、この話をしよう。
だけど、どんなに手を動かしてもセーラー服は、なかった。
え???
少しづつ、頭が覚醒してゆく。
エリコの視界に入るのは白い世界。
白い壁、白い天井、白い床。
そして肌色の自分の体と携帯電話。
なにかがおかしい。
見慣れない景色だ。
ここは、どこだ。
毎朝、顔を合わせる電灯がない。
小学生の頃から貼ってある世界地図がない。
机も、棚も、何もかもがない。
私と、携帯電話だけが、ここに、ある。
これは夢だろうか。
二度寝したら目覚めるだろうか。
おけつの下が硬くて、冷たい。
やわらかい肉の奥にある骨と、フローリングの床があたる。
痛い。
布団がないのだ。ドアもない。何が起こったら、こんな状況になるんだろうか。
しばらく時間がたっても、元の世界に戻らない。
どうやら、これは夢ではなくて、現実みたいだ。
仕方ない。
私は意を決し、むっくりと起き上がった。
あたりを見渡してみる。
ドアもなくて窓もなくて、外の音も聞こえなくて、白く清潔な壁だけがそこにある。
部屋は正方形。
いや、三次元だから立方体というべきか。
私は自分の身長と部屋を比較しながら、広さの見当をつける。
たて、よこ、たかさ、すべて三メートルずつといったところだろうか。
普通の部屋に比べて天井は高く、広々とした印象である。
 
電灯はないのに、不思議なことに部屋の中は明るい。
壁にコンセントやスイッチ類は、ない。
画鋲を刺したあとさえ、ない。
何もない部屋がこんなに不気味だとは知らなかった。
家具がない部屋だって普通はドアがあるだろう。
それらの目標物がないのが、例えようなく不気味である。
監、禁されている可能性を考えてみた。
自分の体を触ってみる。
彼氏はいるけど、まだ処女である。
もしかして私は、レイ、プとか、されたのだろうか。
だけど下半身に違和感は感じない。
いつも通りの私の裸である。
白い部屋の中にある、体の肌色。
禍々しい陰毛の黒。
無機質な部屋の中で、私はあまりにも場違いだ。
携帯電話を見る。
八時を過ぎようとしている。
学校、遅刻しちゃうなあ。
待ち受け画面を見ると電波が三本立っている。
なんだ、電波あるじゃん。
誰かに連絡を取ることは出来るわけだ。
電話をかけようとして、はたと迷う。
私は誰に電話すべきだろうか。
彼氏?両親?警、察?
しばし考え込む。
正直なところ、誰に電話してもいいんだと思う。
だけど何と言おう。
今のこの状況を、どう説明したらいいのだろうか。
自分でもよくわからないことを他人に説明するのは難しい。
まあいいや、とりあえず、かけてみよう。
何とかなるだろう。
「あ、ママ?」
「えりこ、あんた今どこにいるの。
朝御飯も食べずに、学校行ったの?
お弁当忘れているわよ。
届ける?」
「いや、いま起きたら、変なところにいるんだけど」
「変なとこ?」
「白い密室に、裸で閉じ込められている」
「え?!」
電話越しに、母がおびえているのが、わかる。
そして、
「なに?どうゆうこと?どこなの?」と聞いてくる。
「いや、だから私も、わかんないんだってば」
「裸で閉じ込められているって、何かされたの?イタズラされたの?」
「何もされていない、誰もいない、ドアもない、でも全裸」
「なにそれ」
「わかんない。
ねえ、ママ、わたしの部屋どうなってる?」
「パジャマが、すっぽり、布団の中にある。
連れ去られたの?
おとうさん!たいへん!たいへん!」
そのあと、父と母は捜索願いを出した。
「絶対、あんたのこと見つけるからね」
母と父の、その言葉に安堵したその瞬間、充電が切れた。
私は絶望した。
体育座りをしてジッとしていると、
何か違和感を感じた。
それは、ある印象であった。
自分の体が大きくなったような印象。
白い壁ばかりの部屋で錯覚を生じたのか。
こめかみのあたりに、嫌な予感が走るのを感じる。
ふと思いつき壁際に寄る。
私は部屋のすみの壁、立方体の点にあたる部分から一センチほど離れた位置を、爪で引っ掻いた。
小さな傷が壁に残ったのを確認する。
それを三回繰り返し、三角形の傷を描いた。
印である。
一息ついて、壁を見る。
先程の印は、どうなっているんだろう。
ぞくりと、首裏が震える。
もはや違和感でも、目の錯覚でもない。
明らかに部屋が狭くなっている。
先程の違和感。
移動した印の位置。
壁が縮んでいる。
だんだん悪寒がしてきた。
背筋を冷たい汗が流れる。
出口のない白い部屋が、少しづつ小さくなる。
静かでゆっくりだけど確実に壁が縮み、そのぶんだけ部屋が狭くなる。
じわじわと落ちる天井、迫る壁。
逃げ場はない。
やがて歩き回るスペースがなくなるばかりか、満足に伸びも出来なくなる。
そして自らの肉体が直接、壁に圧迫されるままになる。
どんな姿勢をとっても体が壁にあたる状況。
壁から逃れようと四肢を縮めて、その場をしのぐ。
いつしか一切の身動きが出来なくなり、なすがままに内臓を押されてゆく。
さらに空間は圧縮し、その圧力により、少しづつ骨が折られてゆく。
究極の閉塞感の中、肉が潰されて、人間という形がなくなる。
ぐちゃぐちゃの塊になり、なおも押し固められる。
濃縮された体液と肉は、赤い立方体になり、最後には赤い点になる。
……まさかね。
おぞましい想像を私は、振り払った。
まったくもって、ばかげている。
ありえない。
ありえないったら、ありえない。
そう自分に言い聞かせる。
口のあたりが無意識にピクピクと動く。
あー、やっぱり、おびえている。
不安は消えず、増大する。
怖い。すごく怖い。
顔面を満たしている血液が、首を通して一気に下へ落ちていくような感覚を覚える。
全ての毛細血管中の血が抜けていくものだから、眼球の周りの皮膚が真っ青になり、浮かび上がりそうなほどに頭が軽くなっていく。
やけにうすら寒く感じて、顎骨の産毛、その一本一本が逆立つ。
ただの壁なのに、今は邪悪な欲望を秘めた怪物のように、ひどく恐ろしく見える。
犯人というものが存在するとして、その意志も読めない。
なんでこんな、ややこしい方法で、人を殺、さなきゃいけないの?
人間同士のやりとりが、まったく、ない。
壁との、やりとりである。
だから感情とか目的が読めない。
意味わかんない。
わあわあ泣くのも違う。
狂ったように暴れまわるのも違う。
ただ、わけがわからない。
わけがわからないまま、ゆっくりと確実に死が近付いてくる。
どのくらい時間が経ったのだろう。
立ち上がると、髪の毛が、かすかに天井に触れるようになった。
いよいよ部屋が狭い。閉塞感。
最初は頭の先が天井につっかえるのが新鮮な体験で、面白かった。
しかし、すぐに飽きて、不快になり、恐怖が襲う。
天井が低いのは本当にやりきれない。
息のつまる思いだ。
朝のラッシュの満員電車、あんなに、ぎゅうぎゅう詰めの中で我慢出来るのは、天井が高いからかもしれない。
もし満員電車で、頭スレスレの所に天井があったら、どうなるだろう。
何人か発狂するのではないだろうか。
もう歩き回ることが難しい。
狭さもあるけど、何より頭がつっかえるからである。
普段は意識しないけど、歩いているとき人間の頭は意外と上下に動く。
もちろんそれは、ほんの数ミリ程度のブレ幅なのだろうけど、高さがギリギリの部屋では、それが、いちいち、つっかえる。
くそイライラする。
もう体を伸ばすことは出来なくなった。
出来ないとなると無性にしたくなるのは何故だろう。
これ以上、狭くなると、平静を保つ自信はない。
まだ発狂していないのが不思議である。
そのうち壁に手をつき足をつき、思い切り力をいれて突っ張ることで、床に触れずに空中に浮かぶことが出来るようになった。
べつに遊んでいるわけではない。
壁を押し戻すことが出来ないか試しているのである。
圧力に抵抗してみる。
顔が真っ赤になり、血液が沸騰しそうになる。 
ふと右手の親指が視界に入る。
爪先がギザギザに歪んでいる。
少し出血もしている。
無意識のうちに噛んでいたようだ。
出血してしまうくらいに強く。
ものすごい、おびえている。
もう冷静ではいれない。
あーっ!って、思いっきり叫んだ。
そうだ、この部屋の壁のような気持ちを前にも味わったことがある。
子供の頃、世界は無限に広いと感じていた。
将来なんだって出来るし、どこにだって行けると信じていた。
しかし歳をとるにつれて、それがどうやら間違っていたらしいことに気付く。
世界に限界があることに気付いて、越えられない壁を感じた。
もしかしたら、あのときから、壁は存在していたのではないか。
壁があったとしても、子供だったから、まだ行動できる範囲がとても広かったから、部屋として認識出来なかっただけではないか。
そう考えたら、なんだかスマートだ。
この部屋は誰にでもある。
この部屋は人間の人生を表現しているのかもしれない。
それが私は、今なのだ。
生まれながらに、人は部屋に閉じ込められているのか、そうなのか、なるほど。
そんなことを考えて、なんだか少し安心していると、肺が圧迫されはじめた。
息がまともに出来ない。
かなり努力して呼吸をしないと、空気が肺に入ってこない。
押し込められているから自然と空気を吐いてしまう。
背中がメリメリと痛い。腰も痛い。頭も痛い。あらゆる間接が無理をしている。
体育座りをしながら顔を足と足の間に埋めて、
人間はこんなにも小さくなれるものかと感心したけど、そろそろ限界だ。
嘔吐に近い感覚で喉が動いている。
ああ暑い。なんて暑いんだ。
筋肉がおかしな感覚。
伸びきった感じがするんだけど、実際には潰されている。
あっ、肉が剥がされたような痛み。
断裂したのか、びりびりーって、ポスターをやぶった感じ。
もはや痛いとか痛くないとかじゃない。
かなり前から全身が痛いから、どこが切れたのかすら、わからないのだ。
痛みに慣れ、飽きてきた。
早く殺、してほしい。
耳栓をしたかのように聴覚がない。
味覚もない。舌がゴムになったかのようである。
なんだか真っ暗だ。
さっきまで瞼の裏で真っ赤なものが見えていた気がする。
眼球が取れたってことかなあ。
すべての感覚が消え去った、暗い空間の中。
私は、はっきりと、鮮やかな音を聞いた。
それは首の骨が折れた音でした。

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