あ~イク恋愛生欲情の扉

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2024年 5月 の写メ日記一覧
宝乃ありな

宝乃ありな(26歳)

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せつなく とける おじかん です

せつなく とける おじかん です

フユオは右手を軽くグーパーしてみる。
当たり前のことだけど自分の意思で動く自分の右手である。
これは夢ではなく現実だ。
フユオのことをアリコが見つめる。
フユオもアリコのことを見つめ返す。
目があうとアリコは、いつも投げキッスかウインクを飛ばしてくる。
フユオは、いつも、そんなアリコの、ふざけた愛を両手でガシッとキャッチして、心の中の宝箱にしまっている。
「ぼけっとしないでよ、
私みたいないい女が、横にいるのに」
と言って口を尖らせるアリコの頬にキスをする。
唇にキスしようとすると
「私の唇は1000円。
あなたは奥さんがいるから、私とえろいことするなら、その都度、課金して」
とか言って金銭を要求してくるので、最近は諦めて頬にキスをするようにした。
頬のキスは無料らしい。
タピオカを買ってあげた日は手を繋いでくれた。
何かを買ってあげると優しくなる。
「ありこは、おれのことが好きなの?」
「すきよ、殺、したいくらい」
フユオは女房とは別居状態だし、
アリコと肉体関係をもったこともないので、不、倫とは、ちょっと違うのかもしれない。
だけど精神的には、もうアリコに、のめりこんでいる。
浮気の入り口には立っているのかもしれない。
いや浮気じゃない、本気だ。
べつに嫁なんて、もう、どうでもいいし、別居だから本当にしばらく会ってないし、子供もいないので離婚まで秒読みである。
それは不、倫する男の言い訳でもなんでもなく本音だし、事実である。
何も利用していないし、何も利用されていない。
いいとししたおっちゃんがこんなこと言うとキモイかもしれないけど、
純粋な恋愛である。
アリコとのデートの帰り道に、ふとアリコとの出会いを思い出す。
アリコは、フユオの会社に出入りしているコピー機の業者だった。
定期点検に1ヶ月に一度の割合で、フユオの所属する総務課に来訪していた。
静かに作業をし、ものの五分もしないうちに帰っていくので、なんの印象も残っていなかった。
その日はちょうど昼休みになったばかりの時間帯で、総務課にはフユオしかいなかった。
女の子たちは、まとまって外に食事に出てしまったし、三人いる男性社員たちも社食に行ったのか、姿が見えなかった。
生真面目なフユオは、課内の全員が留守になるのは良くないだろうと考えた。
電話が鳴るかもしれないし、人が訪ねてこないとも限らない。
フユオは誰かが戻ってくるまで待つことにして、やりかけの仕事にとりかかった。
そこに業者のアリコがやってきた。
アリコは気配もなく足音もなく、ふわふわとやってきた。
あまりにも気配がなかったので、
だから最初フユオはそのことに気が付かなかった。
ふと顔をあげたら、コピー機の前にしゃがみこんでいる女がいて、フユオは驚いて立ち上がってしまった。
「わっ」
フユオの驚いた声に、女もびくっとした。
「あっ、驚かせてごめんなさい、コピー機の点検に……」
そうモゴモゴ言いながらこっちを見た女は、個性的な風貌をしていた。
長い赤髪は耳の上でふたつに結んでいて、耳かきについているようなフワフワの毛のような髪飾りをつけており、ひらひらとしたミニスカートに目の粗い網みタイツ。
化粧が濃くて、
フユオよりは若いと思うしフユオから見たら可愛いけど、
若くはないだろうな、わりと年齢いってるかなというイメージである。
その年齢で、そのファッションに赤髪~?
って心の中で思ったけど、
次の瞬間には「でも、すごく似合っているし、可愛い」と思った。
そこらへんで見かけるぶんには、派手だな~ぐらいにしか思わずに、違和感は感じないだろう。
「若作りおばば」ぐらいに思うだろう。
だけど郊外にある測量機器メーカーの総務課では、充分に異様である。
女は名刺をくれた。
名刺には【営業一課 立花亜里子】と書いてある。
「たちばなありこさん」
思わず音読してみる。
「あっ、それ、亜里子って書いて、ありすって読むんです」
「ありすさん」
「はい、でも、ありこでいいです。
あだ名が、ありこだから」
「不思議の国のアリスだね。
ファッションも個性的で可愛い」
フユオのその言葉に、
アリコは面白くもなさそうに鼻で愛想笑いをした。
アリコの面白くもなさそうな愛想笑いを見たフユオは、途端に不安になった。
なんだろう。
なんか失礼なことを言っただろうか。
不思議と個性的って言葉って、
聞く人間によっては失礼な言葉なのかもしれない、ばかにしているように聞こえたのかもしれないと思って、フユオは反省した。
それを言うなら、俺のほうが変な奴だし、個性的だ。
だって、こんなにすぐに、女に惚れてしまうなんて、今までなかった。
完全なる一目惚れだった。
アリコは、フユオが目を離している隙に、気付いたら、もういなくなっていた。
気配もなくやってきて、気配もなく消えていった。
連絡先聞いておけばよかった!!
俺の目付きが、きもくて、逃げたのかもしれない。
それからおよそ一月後に、アリコは再びやってきた。
「失礼します」と小さな声で言いながら、細く開けたドアをくぐり抜けるように入ってきた。
まるで何かの影みたいに。
フユオはその一部始終をなぜか見ていた。
気にしていたわけではなかったのに、アリコが忍び寄るように入ってきた瞬間には既に、ドアのほうに目を向けていたのだった。
他の社員たちは、アリコの訪問に気付かないようだったし、アリコがコピー機の点検をしている間も、誰もアリコのことを気にしていなかった。
その日のアリコは、全身ピンクづくめだった。
「異常ありません。サインお願いします」
アリコが近くにいる社員に声をかけると、その社員は声をかけられて、ようやくアリコの存在に気づいた。
「ぜんぜん気付かなかった(笑)」
と社員は笑った。
アリコも、はにかみながら微笑んだ。
あるとき、社外で偶然アリコを見かけた。
フユオは仕事帰りだった。
午後八時頃だったと思う。
そのときのアリコは全身黒づくめで、
真っ暗な夜と一体化していた。
夜と一体化しすぎて、
誰もアリコに気付かなさそうである。
それなのに、フユオはどういうわけか、アリコが曲がり角から姿を表し、自分とすれ違うまでの一部始終を、きちんと見ていた。
誰も気付かないほどに、
さっと現れるアリコのことを、フユオはいつも必ず見つけてしまう。
どこにいても、
たとえ草と一体化していようが、
太陽と一体化していようが、
土と一体化していようが、
必ず見つける自信がある。
思わず「ありこさん」と声をかけていた。
ありこは、さして驚いた様子もなく顔をあげ、フユオの姿を認めると、
「あっ、どこのイケメンかと思ったら、イケメン課長さんだ~」
と言いながら、笑顔になった。
これが二人の出会いだった。
月日は流れ、フユオは離婚した。
それは別にアリコがどうのこうのとかではなくて、嫁とは本当に別居状態で破綻していたので、ありこの存在がなくても、あっても、間違いなく離婚はしていただろう。
「ありこ、一緒に暮らそうか」
「旦那に怒られるから、ダメ」
「えっ、旦那がいるの?!」
「言ってなかったっけ?」
「俺のこと好きなの?」
「好きよ、殺、したいくらい」
「じゃあ、なんで……」
フユオが驚いている間に、
ありこは、気配もなく、どこかに消えた。
今度は、どこと一体化しているんだろう。
もう見つけれない気がする。
夢だったのだろうか。
そのあと、再びフユオとありこは再会した。
だけど30万を貸したら、音信不通になった。
どうせ返せないだろうなと思っていたし、あげるつもりだったから、それは別にいいんだけど、それにしても、ひどい。
やっぱり、夢だったのだろうか。
夢だったら、いいのに。
フユオは右手を軽くグーパーしてみる。
当たり前のことだけど自分の意思で動く自分の右手である。
これは夢ではなく現実だ。
 
かなしくて、せつなくて、とける。

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