あ~イク恋愛生欲情の扉

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2024年 4月 の写メ日記一覧
宝乃ありな

宝乃ありな(26歳)

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ゆがむ おじかん です

ゆがむ おじかん です

ハマオがマサオのことを思い出したのは、新聞に目を通した瞬間である。
連続放火犯逮捕の記事を何気なく読んでいたハマオの目に犯人の氏名が飛び込んできた。
そこにマサオの名前があった。
妻のミヨコが話しかけてくる。
「なに?面白いこと書いてる?」
そう言いながら、コーヒーをマグカップに注いでくれた。
「放火の犯人が捕まったんだけど」
「ああ、連続放火事件ね。
でも、それって、そんなに驚くこと?」
「犯人、俺の大学時代の同級生なんだよ」
「えっ、それは驚くね。
でも同姓同名ってことはない?
顔写真みた?」
「うん。
写真見ても、間違いなく、あいつ。
あんまり変わってねぇな。
久しぶりに、顔みたわ」
「あなたにとっては事件の犯人じゃないのね。
まるで同窓会の出席者にしんゆうの名前でも見つけたような口ぶりだわ」
 
「いや、驚いてるよ」
「どんな人だったの?」
「女好きのするやつだったよ。背が高くて美形だったからモテてたよ。
冷たい感じがしたし」
ミヨコが吹き出した。
「なにそれ。
冷たいと、もてるの?
じゃ、あなたは、もてなかったでしょ」
ハマオも笑いながら頷いた。
「おれみたいに当たり障りのないのって、若い頃は、もてないんだよな。
女って、裏表あるやつ、好きじゃない?
クールな男が自分の前では全然違う、みたいな感じにくらっとくるんだろ?」
「あなたは、それ知ってて、どうして、もてるようにならなかったの?」
「もてないまま、ミヨコに出会いたかったからだよ」
「はいはい」
スーツ姿のまま、ミヨコと、じゃれあう。
こんなところを職場の人に見られたくないな、とハマオは思う。
想像すると恥ずかしくていたたまれなくなる。
しかし、幸せは、元々、恥ずかしいものなのかもしれない。
秘密に似ている。
そう感じながら、ハマオはミヨコに口づけをする。
「あー、チューされたー」
「秘密だよ」
「誰に、今朝、旦那にチューされたって打ち明ければいいのよ」
ハハハッと明るい笑い声が響く。
打ち明ける価値などないものが、ハマオは好きだ。
場面は切り替わり、
ハマオは
その夜、
寝る前にマサオのことを思い出した。
大学の時、
マサオが彼女を紹介してくれたことがあった。
彼女のケイコは、お世辞にも美しいとは言えなかった。
人それぞれ好みはあるだろう。
だけど100人いれば95人がブスと思うレベルである。
ある日ハマオがマサオの家に遊びに行くと、
マサオがハマオに言った。
「俺の彼女、ブサイクだろ」
ハマオはどう答えていいのかわからず、タバコに火をつけた。
「まあ、男受けする顔ではないな」
「ブスだと思ってるなら、そう言えよ。
すげえブスだろ」
「ひでえな。
自分の彼女のこと、そんなふうに言うなよ」
「本当のこと言っただけだよ。
俺と出会うまで処女だったんだぜ」
笑いながら彼女の悪口を言うマサオを見ながら、ハマオは悲しい気持ちになった。
「でも、うまいよ、これ」
と言いながら、
おそらく彼女が作ったであろう肉じゃがを食べた。
「そうなんだよ。
うまいんだよなあ、あいつの料理」
なんだかんだ言っても、
マサオは彼女のことが好きなのだ、と、そのとき思った。
そしてマサオは、こう続けた。
「おれ、おふくろの味ってないんだよ、おふくろいないからさ」
「へー。りこんしたの?」
「おれが小学生の時に死んだんだ。
うちが火事になって焼け死んだ」
「うーわ、重たい話し聞いちゃった、どうしよう」
「そのとき、俺の兄貴も死んだ」
「ふーん」
「そのリアクションいいね。
それくらいのリアクションだからこそ、お前に話したいと思ったんだ」
「だって、べつに同情されたくて話してるわけじゃないだろ?」
 
「もちろん。
だけど聞いてほしいだけ」
「聞くよ」
「俺な、母ちゃんと、ヤッてたんだよ」
「はい?」
「小さい頃から、母ちゃんのま、んこ、舐めさせられたりさ。
言うこと聞かないと、掃除機でなん十回も叩かれたりさ」
「わー、重たい、どうしよう、笑えない」
「男と女は、どちらかが飼い主で、どちらかが飼い犬だってことに決まってんだと思った。
おれは、彼女との関係では、飼い主なんだよ。
おれは、これからの人生、永遠に飼い主でいることに決めてる。
あいつさあ、俺に、いつもシッポふってる。
それが見えるんだ。
せ、っくすしてるときなんて特にそう。
かわいいよ。
ブスだけど可愛いよ。
おれの注意を引こうと、いつも必死でさ。
すげえ惨めで、すげえブスで、すげえいとおしいよ」
ハマオにはマサオの感覚が、まったく理解できなかった。
母親に傷つけられた過去があっても、
それは彼女には関係ない。
あんなに性格のいい彼女をいじめて、
なんて悪い男なんだと思った。
だけどきっと、
マサオとケイコは、他人にはうかがい知れない幸せを密造している。
と納得した。
そして聞いてみる。
「ところで、
死んだおふくろさん綺麗な人だったの?」
その質問に、
マサオは微笑したまま、しばらくの間、黙っていた。
まずい質問をしてしまったかと後悔していると、
マサオは今まで見たこともないような、うっとりした顔で、
「うん。あんなに美しい人は、よそにいないよ。
だから掃除機で叩かれようが、水に沈められようが、俺は幸せだったよ。
俺の飼い主になれるのは、あの人だけ」
と言った。
「こんなこと聞いて思い出させたら悪いけど、出火原因って、なんだったの?」
そう聞くと、
マサオは、くすくすと笑いながら、こう言った。
「さあ、飼い犬に手を噛まれたんじゃないのか?」
それを聞いて、
ハマオは背筋がぞっとした。
それ以来、マサオと距離を置いていた。
そのあと、
ケイコが焼身自、殺をした話を噂で聞いた。
別れ話を持ち出したマサオに、ケイコは、何度も謝り、すがりついた。
すがりついてくるケイコのことを
マサオは無惨にもボコボコにした。
「いや、別れたくない」
気が狂ったケイコは、マサオの目の前で焼身自、殺をした。
冷酷なマサオも、さすがに焦ったらしく、止めようとしたけど、ヤケドしそうになり、止められなかった。
そのあとマサオは精○科に入院したという話も知っている。
そして、今回の連続放火のニュースだ。
マサオはケイコのことを愛していただろう。
それは間違いない。
母親と同じくらい、いや、もしかしたら、母親よりも、強く強く愛していたのかもしれない。
人は誰かを本気で愛した時に、
失いたくないのに、
失いたくないからこそ、わけのわからないことをしてしまうことがある。
きっと失いたくないからこそ、
破壊したくなることがあるのである。
の いつかの夢シリーズ
 

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